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岩は呟く ページ24

side 悲鳴嶼


Aと打ち合いをしたときに感じた。

才能と、努力を。





「もう一回、」

肩で息をしながら立ち上がるA。

Aは、私の暇を見つけては、手合わせをしてほしいと言ってくる。

「一回、休憩をはさむ。少し休め。」

休憩させようとしたが、

「…まだ、出来るよ。」

Aはそう言って私を引き止める。

「…なぜ、そこまでやる。」


「…強くならなくてはいけないから。
 今よりもっと、強くなりたいから。
 私の限界はあるけど、でも、まだその限界に辿り着いていないと思うから。」

少女の声は、凛としていた。
今までの疲れなど感じさせないような声だった。


「だけど…強くなりたくても強くなれない。」

少し、憂いを帯びた声色になった。

「なぜだ。」

「私の剣は、鬼を滅するだけの剣。
 誰かを守る優しい剣じゃない。
 ただ敵を屠るだけの、無機質な剣。」

その剣には、限界がある。

そう言ったAは、まるでどこか遠くヘ行ってしまうかのような声をしていた。

「…確かに、意思を持たぬ剣ほど弱い剣はない。
 だが、意思を持つ剣が必ずしも人を守る剣であることはない。
 例えば…

 

  人の思いを受け継ぐ剣だ。」


「人の、思い…」

確かにAには、人を守る優しい剣というのは難しいかもしれない。

だが、誰かの思いに同調し、それを受け継ぐことならできるかも知れない。


「人の思いを受け継ぐ。意味は分かるな?」


「うん。でも、どうしたら…」

迷いのある声を発するA。


「誰かを尊敬できるようになれ。
 憧れをつくれ、そうしたら、自然と振るえるようになる。
 人の思いを受け継ぐ剣を。」


ひょっとしたら、どちらにせよ、誰かに思われたことのないAには難しいことかもしれない。
だが、私はなにより、Aは誰かの思いを受け継ぐ剣を振るう方が合っていると思った。



「もう一回。」

再び打ち合いを挑もうとしてくる。

「……、だめだ。」

「なんで………」

Aは困惑したような、落ちこんだような声を出す。

「自分の実力を分かっているのか?
 私とて、自身と互角やもしれない相手と戦えば消耗する。」


「あ…」

まるで、今思い出したかのようなAに呆れる。

「とにかく、今日は終わりだ。」



まだ幼い彼女に私ができることなんだろうか。
愛を教えるのは、私には難しい。

だが、そうだな。
Aの進める道を増やすことなら、

私にも出来そうだ。

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作品ジャンル:アニメ
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絵理奈(プロフ) - 明菜が夢主に罪を負わせますね、刀キャーとか嫌がらせされたとか身体が痣だらけだとか。 (2020年2月3日 18時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - 和美さん» ありがとうございます。めちゃくちゃ元気でました!!更新頑張ります! (2020年1月8日 21時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
和美(プロフ) - 最高の作品ありがとうございます!夢主ちゃんが早く幸せになって欲しい…大好きです!(((殴 更新頑張ってください! (2020年1月8日 11時) (レス) id: 02d0844636 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - www(アメーババババ)さん» わぁ!ありがとうございます!更新頑張ります( ー`дー´)キリッ! (2019年12月1日 19時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
www(アメーババババ)(プロフ) - 好きです!(唐突)更新頑張ってください!! (2019年12月1日 17時) (レス) id: 9fbd33347e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちーかま | 作成日時:2019年12月1日 5時

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