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風が通る ページ23

side 不死川


また、厄介な奴が入ってきた。

親から愛をもらえなかったァ?
知らない方が、意外といいかもしれないぜ。

失ったときの痛みを知らずに済むんだからな。


「風柱、自分の体は大事にしたら?」

お館様の意向で、Aと合同で任務をすることになった。

「アァ?イイんだよ。
 俺はどんな手でも鬼を滅せられれば。」

任務は終了し、既に帰路についていたときだった。

少し厄介な鬼血術を使う鬼だったので、自らの血で鬼を酩酊状態にさせ、倒したのだが…

「……そう。」

やはり、不満そうな顔をするA。

「関係ねぇだろ、Aには。
 俺のことはァ心配すんな。昔からだ。」

「昔からというのは、傷から分かる。」

アァ…分かんねぇな、こいつの言いてぇこと。

なんとなく気まずくなって、お互い無言にな
る。

「傷は、簡単には治らない。
 手負いの者は、戦闘に置いて、邪魔だ。」

「俺が手負いだァ?
 呼吸で止血はしてるぜ?」

本当、年下には見えない言動だな。

「…それでもだ。
 だから、自身の体を傷つけるのはやめろ。」

これが、俺の戦い方なんだがな。

「それは出来ねぇ、」

「…いつか、死ぬ。」

んなことは覚悟してるんだよ。
鬼殺隊に入った時点でな。

Aはこちらを睨んでいる。

……、こいつ。

「俺の心配してんのかァ?」

ぴくりと、反応するA。

図星、か。
なるほどナァ、意外と可愛いじゃねぇか。

「仲間を、心配するのは、普通だ。」

そう言って、Aは目をそらす。

仲間…か。

「俺の心配はすんじゃねぇ。
 自分のことだけ考えてろ。」


そうだ、A。

お前はまだ、人のことを考えんじゃねぇ。
自分のことだけ考えてればいいんだよ。

お前は…知らないことが、多すぎるんだ。

その癖世界の全てを知ったような顔して生きてるよなァ。
それは、他人に自分の弱さを悟られないためか?

なら、少し力を抜け、少なくとも俺にはその虚勢は筒抜けだ。

俺の前だけでいいから、年相応にしてろ。

俺は、小柄な背中にそう言いたかった。



「この前…団子ありがとう。」

この前…?
そういえば、こいつに買い過ぎた団子をやったなぁ。

「覚えてたのかァ?」

こくりとうなずくA。

「美味しかったから。」

少し照れたように言うAは、年相応に見えた。

「…なんだァできんじゃねぇか。」

「え?」
訝しげにこちらを見るA。

「こっちの話だ。」

風が、夜の町を吹き抜けていった。

岩は呟く→←霞の目覚め



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作品ジャンル:アニメ
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絵理奈(プロフ) - 明菜が夢主に罪を負わせますね、刀キャーとか嫌がらせされたとか身体が痣だらけだとか。 (2020年2月3日 18時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - 和美さん» ありがとうございます。めちゃくちゃ元気でました!!更新頑張ります! (2020年1月8日 21時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
和美(プロフ) - 最高の作品ありがとうございます!夢主ちゃんが早く幸せになって欲しい…大好きです!(((殴 更新頑張ってください! (2020年1月8日 11時) (レス) id: 02d0844636 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - www(アメーババババ)さん» わぁ!ありがとうございます!更新頑張ります( ー`дー´)キリッ! (2019年12月1日 19時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
www(アメーババババ)(プロフ) - 好きです!(唐突)更新頑張ってください!! (2019年12月1日 17時) (レス) id: 9fbd33347e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちーかま | 作成日時:2019年12月1日 5時

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