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カルテ20 ページ21

「先生、香月…くんは…?」

Aは彼を“香月”と呼ぶことに抵抗しているようだった。

知らされたんだろう。

彼が“立花 香月”ではないことに…。

「君の病室にいるよ。鍵をかけてきたから。」

「オレの大切な患者に何やってんだか。医者も堕落したもんだぜ。」

はぁ?

「こんなことしてるあなたに言われたくないな…。」

さて、いろいろ聞きたいことはあるが。

「まず、患者の河内 麗央くんについて聞かせてもらいたい。」

「お前から話してやれよ、A。」

全部聞いているのか…?

「…わかりました。」

Aは彼のことを話していった。

そして本当の“河内 麗央”を知ると同時に、俺は桑原 龍騎のことも知った。

桑原は、マッドドクターだ。

「医師の力をこんな風に使うってことか…。」

怒っていない。

ただただ、呆れていた。

「そういうやつと同じ職っていうのは恥だ。院長には何と伝えてある?」

桑原が出した答えは意外なものだった。

「院長は、オレたちのグルだ。ははっ、案外一番の悪党は院長かもな、はははッ…!!」

…!!

「何だと!?おい、どういうことだ詳しく教えろ!!」

「はは、いいか?Aもよく聞いとけよ。院長は…舞緒は、な。」

渡坂先生、下の名前は舞緒っていうのか…。

「あいつは化けの皮を被っている妖狐だ。確か…内科医だったか?いくつも被験体をつくり実験を終えては捨てていくんだぜ…!!マッドだろ、狂ってるだろ!?これがこの病院を統率してるやつの素顔なんだよ!!」

……。

「あなたがそれを語ったところで俺は何をしろと?」

素直な感想だ。

被験体なのはAも同じ。

「それに、あなたと麗央くんと院長の間にはどういう関係があるんだ?」

「オレはそんな舞緒に惹かれて協力した。さっきはあんな風に言ったが、院長に呼ばれたのは偶然じゃなかったんだぜ。」

「香月くんも被験体…あなたが香月くんをおかしくしてその結果を院長先生に伝えて…そのまま捨てるつもりだったんですか…?」

ずっと黙っていたAが口を開いた。

さっきよりずっと震えていて頼りない声だった。

「私が彼のための物でも、それだけは…だめです…!こんな立場の私が言うことではありませんが、医師は人の命を救う人です…!!」

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作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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円香(プロフ) - くまの助さん» 読んでいただきありがとうございます! ジャンル、そうですね…アドバイスありがとうございます。 (2018年8月21日 7時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
くまの助(プロフ) - 気がつけば読み終えていました。ジャンルがファンタジーよりミステリーかな?という印象です (2018年8月20日 21時) (レス) id: 20308b11a1 (このIDを非表示/違反報告)
円香(プロフ) - 吐露@菊秦芳は露を吐くさん» ありがとうございます!病院シリーズは初めてなのでよくわからなかったのですが…そう言ってもらえて少し安心しました(笑) (2018年6月9日 20時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
吐露@菊秦芳は露を吐く(プロフ) - なんだかお話の設定やら病院の雰囲気やらがしっかりしていて読みやすかったです!続きを楽しみにしていますね! (2018年6月9日 20時) (レス) id: 07eaa6a5bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:円香 | 作成日時:2018年4月23日 17時

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