優しい香り -srf- ページ37
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「うぅ〜…寒い〜〜…」
体育祭前日のある日。学校では辺りがジャージの生徒で溢れかえっていた。
『今日風強いのによく半袖でいられるなぁ』
「そんなあなたも半袖じゃないですか」
『おぉ！セラフ！』
「なんかすっごい寒そうな人見かけたから寄ってみれば」
セラフはふわっと自分のジャージを私に掛けてくれた。
「風邪引きますよ、お嬢さん」
柔軟剤の香りまでふわっと風で乗ってきた。いい匂いする。
『ありがと』
「ふは笑 でけぇ、さすがに」
男子ものでも結構大きいサイズだからそれを女子が着ると袖も丈もでろんでろんになる。もはやワンピースみたい。
『重たく感じる、ぶかぶかだ〜』
「ふっ笑 かわいい」
『え。』
びっくりした、ストレートに言ってくるから。
「あっ、えーっと、うん…ごめん？」
『なんで謝るの笑 全然いいよ、ありがとう？』
「ありがとうもなんなんだよ笑 俺らおかしい」
『セラフのジャージいい匂いする』
「あんまスンスンしないで？恥ずかしいから笑」
『セラフは寒くない？大丈夫？』
「まぁ、寒がる女子を無視するわけにはいかないからね」
寒いとは言わないのセラフっぽい。絶対寒いはずなのに。ほんと、優しい巨人だなぁ〜。
「それ、返さなくていいから」
『え？』
「今日ずっと寒いらしいし」
『そうなんだ。でもセラフは…』
「いーのいーの、これでも健全な男の子ですよ？舐められては困ります」
セラフはふんっと手を腰に当ててドヤ顔をする。動作が可愛いのはちゃんと健全とした後輩だった。
「あと正直、彼シャツみたいで萌えるし」
『ん？！』
彼シャツ！？そう言われると男子からジャージを借りるって中々無いのかも…？
「萌え袖だしすっぽり1枚で着れちゃうオーバーサイズの女子可愛くて良いですよね〜、でもまぁ僕は…」
「照れて早口になるの、セラの癖だよな〜！」「うるせえぞ奏斗！今セラおが頑張ってんだから！」「ちょっと二人共、隠れきれてませんよ」
『奏斗くんとひばと四季凪先生！』
「黙って見てはいいものの口出ししてくるとは…」
『ふふ笑 仲良いね、君たちは』
「せっかく先輩と二人っきりで話してたのに。邪魔された」
『え、二人っきりが良かったの？』
「うん、先輩と二人で話してるの楽しいから」
余裕そうな笑みでそう呟いた。窓から照らされた顔が眩しかった。
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作者名：白い月 | 作成日時：2023年2月16日 2時
