njsj学校の日常３ (ページ32)

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知らない僕 -knmc- ページ32

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遠くからAの声が聞こえた。楽しそうにクラスメイトの男と喋ってるのだろう。ただそれだけのこと、それだけなのに。

「…なんか気に食わないなあ」

気にすると余計に頭に残る。

別にあいつが今なにをしてたってなんでもいい。

でも、

『はは〜笑でさー…んぇっ、？！』

ほんとに知らない。こんな僕。

いつの間にかAの腕を掴んでどこかに連れて行こうだなんて。

『ちょっと、剣ちゃん！どうしたの！ねぇってば！』

ハッと我に返り、ピタッと歩みを止めると背中から『うっっ』とぶつかった声がした。

『痛ぁ〜…急に止まるかなぁ〜…』

「ねぇ、あれ誰？どこのどいつ？」

『…え？いや誰って…クラスメイトだけど』

「にしても距離近くない？普段からそんなんなの？」

『え、そんなに近かったかなぁ』

「無自覚ですか？！あれで？！あの距離感で？！バグってるだろ」

兄弟でもそんな距離なかなかないぞと言わんばかりの顔の近さでしたけどね？これって僕がおかしいの？え、普通だよね？なんでそんなとぼけてるわけ？

『だとしてもなんで剣ちゃんが気にするの？』

確かに。僕が気にする理由は全くもってない、ようにお前は見えるだろうけどなぁ？

「あなたってすごいですよね、こんな僕ですらもあなたの術中にはまるんだから」

ここまで気にさせておいて、何もしてないなんて言わせませんよ。

『何そんな思い詰めた顔して笑ほんとにどうしたの？なんかあった？』

「いいんです、気にしなくても。でも気になっちゃうんです、あなたのせいで」

どうしちゃったんだろうほんと。欲深い人間なんて愚かだよ、しかもその対象がただただ惹かれている同い年の女子だなんて。

「…何してたの、あの人と」

気にしないフリして逸らせば気付かれずに済むだろう。これで大丈夫…

『剣ちゃんの話してたよ』

「え？」

『"剣持って面白いよな〜俺ああいう奴好きだわ"って言ってたよ』

「は？」

『ふふ笑剣持さん人気ですねぇ？ちょっと妬けちゃうな』

ん？！

『…なーんて、剣ちゃんほど嫉妬しないから心配しなくて大丈夫だよ！』

思わぬ方向からの好意に戸惑うしバレてるし最悪だ！！

『意外とヤキモチ妬くん…あ！逃げた！』

いてもたってもいられずに逃走した。今日は降参。僕の負けだ。

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