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夜桜と不思議な月 -fsm- ページ17

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『…えっ』



帰るのが遅くなって外はもう真っ暗になってしまった。

気分で夜の桜でも見に行こうかと歩いていた所に、

桜の木に乗って月を見ている狐がいた。



『こんな所に狐なんか居るんだ…』



近づいてみたら急に風が吹いて地面に落ちていた花びらがブワッと舞い上がった。

強い風に目を瞑り、しばらくして静けさが訪れた。

目を開けてみると狐がいた所にはガっくんが座っていた。



『ガっくん…?』



「おっ、Aっちじゃん!」



『さっきまで、あれ、狐…』



「なんの話だ〜?」



ニコニコしながら上から華麗にスタッと降りてくる。



『いや…なんでもない…そこで何してたの?』



「いやぁ〜、月が綺麗だなと思って」



いつも太陽のように明るい伏見先生が黄昏ながら月を見ているなんて、皆知らないだろうな〜なんて考えていたら、



「Aさんも月、見ます?」



『?』



「ちょっと失礼?」



ガっくんが手で私の目をふんわり隠すと、体がふわっと軽く浮いた。

私を抱えてひょいっと何処かに降りる。



「よし、ちゃんと捕まっててな?」



視界が開けると桜の木の上にいた。目の前には凄く綺麗な月が光り輝いている。



『うわぁ〜…!凄い…』



「だろ〜?ここ、俺のお気に入りの場所!」



『でもどうやって私を連れて登ったの?』



「ん〜、なんでだろうね?それは秘密っすけど」



『やっぱりガっくんって…』



「あ、こらこら、学校では伏見先生、だろ?」



ニヤッと笑うガっくんを隣で見ると輪郭が少し霞んでいる感覚がした。月の光のせいだろうか、眩しくて目を細めてしまう。



『うわぁっ』



「あ!A!!」



手を滑らしてしまった。やばい、落ちる…っ!



ドサッ……



「…いっててて!あっぶねー!」



危うく頭から落ちるところをガっくんが全身をぎゅっと守って下敷きになってくれた。



『ガっくん大丈夫?!ごめん!!』



「Aっちは大丈夫?怪我は?」



『してない!してないよ!ガっくんの方が心配!』



「あはは笑 俺の事なんていいんすよ、よかった〜無事で」



私の頭をぽんぽんしながら笑う。



『あの、そろそろ降りてもいい…?』



「あっ、あぁ、ごめんごめん笑 ずっと抱き締めてたな笑」



あー…死ななくて良かった、とガっくんは小さく呟く。



「大事な人を危ない目にあわせたら集中砲火だからなぁ〜…これからも守らせてくれよな、A」





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作者名:白い月 | 作成日時:2023年2月16日 2時

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