桜の言伝え -knmc- ページ16
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4月、桜の舞う季節。学校には桜の並木道がある。
その中の一本の桜の木の下で願うとカップルは永遠に続くというよくある馬鹿げたジンクスがあるらしい。
ま、僕には関係の無いことですが。てか息止める意味が謎すぎるわ。
『わぁ〜！もう桜が満開だよ剣ちゃん！』
「見りゃわかるよ」
『はぁ〜？日本人の心がないわけ？桜を見て風情を感じるものでしょ？』
なんかAにしてはいい事言うなぁ。
桜の木の下で立ち止まり、写真を撮るA。
ひらひらと桜の花びらが落ちる中で見るその姿は入学式のあの日を思い出す。
「あの頃も写真撮ってたよな」
何故か目が離せなかった記憶がある。
今も尚、その光景を繰り返しているみたいだった。
「綺麗だな」
『んー？なんか言ったー？』
「…ううん、なんも言ってないよ」
いっそこのまま止まればいいのにな、そんなわけにはいかないけれど。
『時間止まってほしいなぁ〜』
「えっ？！」
『えっ、なんでそんなにびっくりするの笑』
「いや、Aからそんなこと言うんだと思って」
『ばかにしてる？怒』
ビビった〜！心の中読まれてついにそんな能力が…とか思った自分がばかだった。
『だってこんな綺麗な場所、ずーっと見てたくない？』
「考える事がAっぽい」
『そう？剣ちゃんはそう思わない？』
Aが笑顔で上を向く。桜の女神みたいな太陽の照らされ方をしていて今にでも花びらに隠れて儚く消え散りそうな雰囲気だった。
いなくならないでほしい。強くそう思った。
「うーん、思わないかな」
『えー？なんでー？』
「夜桜の方が好きだから」
こんな気持ちにならずに済むから。
『………』
「…何、その顔」
珍し〜みたいな顔。
『剣ちゃん、ジンクス知ってるの？』
「何それ知らないけど」
『そっか。じゃあいいや』
「は？なんだよ教えろよ」
『いーや、それは剣ちゃんに良い人が現れたら教えるね』
…はぁ。こうも鈍感な奴が傍にいると僕まで移りそう。
「もういるけどなぁ、良い人」
『え！いるの！だれだれだれ？』
"お前だよ！！"
『…？』
「…なーんて、言えるかよあほが」
『はぁ〜？！あほじゃないんですけど！！』
「お前に言ってねーよ笑」
剣ちゃん知ってる？もう1つのジンクスがあるんだよ。
夜にこの桜の木の下で好きな人と過ごすと結ばれるんだって。
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夜桜と不思議な月 -fsm-→←意外性独占欲 -ibrhm-
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作者名：白い月 | 作成日時：2023年2月16日 2時
