歩幅と感情 -kzh- ページ13
.
『葛葉さぁ』
「んー?」
『好きな子できた?』
葛葉が咳き込む。え、そんな驚くことだったかな…笑
「急に何!?やめてそんなこと言うの」
照れてるのかズンズン前を歩いていく葛葉。
そういう所は変わってないよなぁー。
大人っぽくなった彼の後ろ姿を眺める。
『クラスも離れて最近全然見かけない間に雰囲気変わったなぁーと思って』
「それでその発想になるお前が変わってるよ」
はぁー、まじビビったわ。と呆れたような顔をしてまた歩く歩幅を合わせてくれる。こういう所は紳士的になったなと思う。
『焦ったってことはもう前から好きな子いたりしてね』「いねーよ」『はや、即答じゃん』
「そーゆーお前はいんのかよ、好きな奴」
『え?気になっちゃう〜?』
「いや別に、流れで聞いただけだし」
『知りたい?ねぇ、知りたい?』
「うっぜ、もういいわ」
『私よりも葛葉の好きな人が気になるなぁー』
「いねーって」
『いるでしょ!だってかっこよくなったもん!』
「え?」
『あっ、』
言っちゃった。ストレートなこと言ったら嫌な顔されるし謙遜されるから隠してたのに。
葛葉は私から顔を背けてまた歩幅が遠くなった。
『あれ、葛葉くん、照れてません?あれ〜?』
「お前まじで良くないぞほんっとに!」
指差しされながら怒られたけど微塵も怖くない。赤面してる葛葉が目の前にいるから笑
『んで?どうなの?実際は』
「…好きな人、ねー…」
急に真面目な顔して考え込む葛葉を見ていたら目が合う。
「お前」
『へっ?』
私、??
「…なーんて。教えるかばーか」
『ちょっと!からかわないでよ!』
ほんっと、そういう所がずるいよ。
その気にさせるような言葉を言うなっ!
『もういい!自力で見つけてやる〜っ』
「むりむり、絶対見つかんないぞ〜」
私は葛葉を置いて前を歩いた。後ろからボソッと何かが聞こえたのを無視して。
「…お前に伝えるなんて100年はえーよ」
.
150人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白い月 | 作成日時:2023年2月16日 2時