久々と末っ子 ページ29
熱も下がり退院となったAは夢ノ咲学院へと足を運んでいた。
(よし、誰もいない)
第３音楽室に誰もいないことを確認し、ピアノの蓋を開けた。
(久しぶりだから弾けるかな)
奏でる音はTricksterの革命曲
紅郎「よぉ。久しぶりだな嬢ちゃん」
一通り引き終わるとドアにもたれ掛かる紅郎が居た。
「お……鬼龍先輩」
紅郎「先輩呼びとは他人行儀になっちまったな」
「私、鬼龍先輩に酷いことしたから…」
紅郎「酷いこと？そんな事された覚えはねぇけどな」
「だって、だって私がTricksterに革命の曲を作ったからおにぃの紅月が負けちゃったんでしょ？？」
紅郎「なんだそんなことか」
「あのね私Tricksterが革命して学院を変える為にキラキラしててもっと輝けるお手伝いをしたかっただけなの。
でも、おにぃが紅月ってユニットにいて、私が作った曲でおにぃが負けて、それで……」
紅郎「嬢…A。」
Aを抱き上げた紅郎
紅郎「Aは学院を変えるTricksterかがもっと輝けるって信じて作った曲だったんだろ？」
「うん……でも、まさかおにぃが相手だと思ってなくて、」
紅郎「負けたのは俺らの力不足だ。それに誰が相手であろうと関係ない。そもそも俺は革命賛成派だ。
俺はすげぇ嬉しいぜ？Trickster思って作った曲でTricksterと学院を変えたんだ。もっと自信を持てよA。」
頭をわしゃわしゃ撫でられ涙が溢れた。
「わ、わたしね、私が作った曲が兄者に命令されたから作ったとか、朔間零の妹が作ったとか言われて、大好きなおにぃを裏切ったとか言われるの嫌だった、」
ポロポロと言葉を零すAに紅郎は背中を優しくさすっていた。
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作者名：杏 | 作成日時：2023年10月23日 19時
