本音と末っ子 ページ25
英智「さてと。これからどうしたいの？朔間くん」
零「どうって、Aを連れて帰るんじゃよ」
巴邸宅を出ると外には黒いリムジンとそのそばに零がいた。
英智「僕がただで返すとでも？」
零「連絡をくれて迎えに行ってくれたことには感謝するぞい」
英智「…この子は本当に朔間家に返すべきじゃなかったと思っているんだ
こんなにも傷ついて
幾ら蛍さんの遺言だったとしても実のご両親があんなんじゃ…
そうだよね？」
後部座席に寝かせたAの頬を撫でる英智。
零「……何が言いたい」
英智「Aを天祥院に戻すと言っているんだよ」
零「断る。それを言うためにわざわざ連絡を寄越したのか？テメェの好きにはさせねェよ。Aは俺が連れて帰る」
ドアを閉めようとしたところを零は止めた。
「……や、だ」
零「A？」
目を覚ましたA。
「もうあんな家嫌だ、私だって本当のお父さんとお母さんに愛されたかったっ…れーにぃもりーにぃには距離感じるし、もう戻れない……」
英智「……そういう事だよ。僕にとってAは小さい頃から共に生活してきた大事な妹。それは朔間くんにとっての凛月くんと一緒だよ。
10年。
この子にとっての10年は天祥院家で、蛍さんに愛されて育てられた10年。全てを受けいれた上で愛していた。
君たち朔間兄弟にはそれが出来なかった。」
「…私っていらない子なんでしょ？」
零「そんな事ない。Aは俺にとってかけがえのない大事な妹だ。」
英智「幼い子供が親のしたことを止めることは出来ないことは分かっているよ。だけど君たちはなぜそんなにもAに執着しているのか僕にはさっぱり分からないね」
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作者名：杏 | 作成日時：2023年10月23日 19時
