幼き零と末っ子 ページ23
零side
日の光にめっぽう弱い朔間家
例にももれず我輩も弟の凛月も日がダメだった。
特に凛月は我輩よりも陽射しに弱くて、いつも吸血鬼ぶって真っ黒なマントを広げてあの子を包み込んであげていた。
ある日、家に一族中の人間がやってきた。理由はあの子、Aのこと。
「なんなんだこの髪色!!!」
「朔間の人間じゃない!!」
「あの母親不貞を働いたのか?」
「DNA鑑定では父親と一致をしている」
「じゃあなんでこんな髪色になるんだ!!」
そんなことを口々に言う大人たちを眺めていた。
産まれたばかりの妹の髪色が一族とは違う日の光の色。それは一族にとっては許されざることだったらしい。
「どうしてっ……どうしてっ……」
あの子を抱いた母親が泣いているのを見るのは、胸が苦しかった。あの子は何も悪くないのに責められるのが。
「母さん…」
声をかけても母親は泣き続けるばかり。あの子を抱きしめている母親に近づき、その腕からあの子を受け取るとあの子は我輩の顔をみてふにゃっと笑った。
我輩は誓った。あの子は俺が守る。
それから月日が経ち、
「れーにぃ!あそんでください!」
凛月「お兄ちゃん…行かないで…」
日の光が平気で健康で元気なAと日の光に弱く病弱な凛月
零「ごめんねA。凛月が心配だから一緒に行けないんだ」
「そっか…わかりました」
「その代わり夜は一緒にいようね」
「はい!」
凛月「お兄ちゃん…」
ベッドで我輩を呼ぶ凛月。
どうしても凛月が心配でAは後回しにしてしまっていた。
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たんぽぽ - 面白かったです! (5月7日 15時) (レス) id: 540503d116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2023年1月3日 19時