福呪草【呪術廻戦】 (ページ10)

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同じ京都校の同僚に秘密を明かされ、
どこかから聞こえた”処刑”の言葉。

それを聞いて、少しの悲しみも生まれない自分に少し驚いた。

呪術師になるために、
どんな辛い任務も惨めな仕打ちも受け入れてきた。

最初は嫌いだったこの世界も、
あの人と同じ痛みを感じられるのなら喜んで受け入れた。

努力も、力も、思い出さえも
これまでの全てが死んで無かったことになるとしても、

貴方のいない世界を生きていくことに比べれば。

貴方の共犯者として死ねる道の、
なんて幸せな事だろう。

『……。』

術で自由を奪われ、
牢へ連行される道中。

とうに自分は呪術師などではなかったと気付く。

どうかこのまま、
早く私を終わらせて。

あの人のもとへ連れて行って。

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「う"っ」

後ろを歩いていた術師の唸り声が聞こえ、足を止める。

『っ…』

振り返る間もなくもう一人の術師も倒され、
支えが無くなり地面に倒れかけた私を大きな体が受け止めた。

「A。」

初めて名前を呼ばれた。

もう貴方の妻になる資格なんてないのに。

この人は、なんて優しい声で私を呼ぶんだろう。

『…悟、さん…。』

一瞬で体を縛っていた術は解かれ、
そっと降ろされた足でゆっくりと立ち上がる。

いくら謝っても、償いきれないほど
私は酷い事を、許されない事をした。

だからそんな優しい顔で、私を見ないで。

「何も言わなくていいよ。黙って、僕に付いておいで。」