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だけど彼と会って恋に落ちて、

あの子の事を好きだと知って。






好きな人の好きな子を意識しないなんて、

そんなの無理だった。








だってわかってるから。








私は彼にとってあの子の代わりでしかない。







彼にとってちっぽけな私の存在を、

どうにか少しでも大きくしたくて。







だから少しでも可愛いと思われたくて、

彼の視線を独り占めしたくて、







いつのまにか好きでもない系統の服を着たり、

似合いもしないメイクを頑張ったりした。







全部全部、あの子を意識してた。







幼いのにどこか大人っぽくて、

綺麗な顔立ちをした彼とそっくりな女の子。







真っ白な肌に大きな瞳、

無邪気な笑顔は可愛くて誰もを虜にする。







彼女が着るのは女の子って感じの服で、

だからメイクも可愛い系にしてる。







本当はシンプルな服装が好きで、

メイクだってナチュラルにしかしない。






でも着る服やメイクを我慢することくらい、

私には苦でもなんでもなかった。






健「…A?」






黙り込んだ私を健人が優しく覗き込む。






「…似合ってない?」






私はなんてめんどくさい女なんだろう。






好きでもない女にこんなこと言われたって、

困るだけなのに。






だけど彼は優しく微笑み、

私の頭を撫でた。






健「似合ってるよ」






健「けど俺は、

いつものAの方が好きだよ」







………ずるい、







好きだって言われて嬉しいはずなのに、

でもやっぱり彼にはあの子しかいないってわかってて






こんなのただの気まぐれなんだろうな、

って胸の奥にしまい込んだ。







だって彼が私をここに呼ぶのは、

どうしてもあの子が必要なときで。






″あの子″としてここに来ている時点で、

私はもうあの子に勝ち目なんかない。






健「今日はやけに大人しいね?」






彼の大きな手が私の頬を包み込む。

軽く重なった唇。







何も考えているかわからないその瞳は、

私のことをなにもかも見透かしているようで







少し怖くなる。







「健人、好きだよ」







健「…俺も」







彼の綺麗な顔が近付く。

角度を変えて何度もキスを繰り返す。






それはどんどん深くなって、

彼の吐息と私の吐息が混ざり合う。







暫くして唇が離れる。

私をお姫様抱っこしてベッドに寝かせた。







健「好きだよ、紗蘭」






…ほら、勝ち目なんてあるわけない。

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作者名:まろ。 | 作成日時:2020年5月7日 14時

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