案外 ページ8
he「ああそうだ。A、ぐちつぼ。ちょっとレオンさんの所に野菜を取りに行ってくれないかい？」
ご飯を食べ終わる頃、ヘレーネさんは思い出したかのようにそう言った。
ぐちつぼさんと？気まずい雰囲気が続くだけのような…
『へ、ヘレーネさん。私1人で行きますよ？』
he「まあまあそんなこと言わないで。2人ともまだ知り合ったばかりだろう？これを機に色々話しておくれよ」
gt「ヘレーネさんは言ったら撤回しないからなぁ〜…。分かったよ」
ぐちつぼさんはそう言うと、立ち上がる。
gt「ほら、行くんだろ？お前も早く支度しろよ」
『……はい』
相変わらず私にだけ冷たいんだから。
彼の態度に少し嫌気がさしつつも、支度を始めた。
he「皿洗いは私でしておくからね」
『はい、ありがとうございます！』
gt「んじゃ、行ってきまーす」
早くしないと置いていかれる！
支度を素早く済ませ、ヘレーネさんに挨拶をし、
さっさと行き始めるぐちつぼさんの後を慌てて追った。
『置いていかないで下さいよ』
gt「遅いのが悪い」
『それはっ…そうですけど。』
感じが悪い。もう少しどうにかならないのかと、隣で歩く彼をチラッと横目に見る。
とても背の高い彼は、いつも剣を携帯している。
剣使いか何かだろうか？仕事が傭兵とか？？
gt「なにずっとこっち見てんの」
『へっ？あ、いやなんでもないです』
gt「嘘だな」
『うっ…』
俯きがちに少し見ていただけなのに気付くなんて。
本当、何者なんだろう？
gt「まあいいけど。…そういや、ヘレーネさんから聞いた。転移したってな？」
『まあ、そうですね』
gt「服とか道具はどうした？処分したのか？」
『いえ、大事にとってますよ。大事な思い出ですから』
gt「それ、後で見せてくれない？」
『…どうしてです？』
gt「お前が言うことが正しければ、異世界のものだろ？どんなものか気になるじゃねーか」
『うーん、確かに。じゃあこのお手伝いが終わったら見せますね』
gt「よし」
余程見たかったのだろうか、嬉しそうだ。
小さくガッツポーズをしたの、見逃してないですよぐちつぼさん。
フードは取ってくれないしまだまだ怪しさは残るけれど、案外無邪気な人なのかもしれない。
『あ、そろそろレオンさんの家ですね』
gt「そうだな。さっさと終わらせるぞ」
そう言ってドアをノックした。
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作者名：相羽ノア | 作成日時：2023年3月18日 17時
