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F ページ45

at 3日後


「……あれ?」

靴を脱ぎかけた玄関の隅っこに、脱ぎ捨てましたって感じに転がるスニーカー…。

「…早くね?」

まだ22時を少し回ったばかり。

打ち合わせの後ニカとご飯って言ってたのに…。


リビングから洩れる明かりに首を傾げて、とりあえず二人分の靴を仕舞って奥へと進む…。


「ただいまー……?」


声をかけながら入ったリビングの中央…。


あ、なるほどね…。


ソファの背もたれから覗く、ワイヤレスのヘッドフォンを着けた頭が軽く揺れていた。

壁際の大画面のテレビ画面いっぱいにひろがるライブ映像が目に入ってきた。


そろっと後ろから覗きこめば、テーブルに散らばる資料やDVDのパッケージ…。


後ろの気配にすら気付かない、相変わらずの集中力にこっそり笑って踵を返した。


確かあの場面は…ライブ中盤くらい。

あと小一時間はきっとあのままだろう。


「お風呂入ってこよ…」

声をかければ良いんだろうけど、仕事に関する事を中断させるような真似はしない。


プライベートに仕事を持ち込むな。

そんな考えなんか更々ない。


俺達の仕事でのパートナーとしての大切な時間の1つに、同じ空間にいられる安心感の方が勝る。


その後に待っている、穏やかな時間を知っているから。


お風呂から上がってリビングに戻れば、さっきと変わらない光景に笑いを溢す。


「クク…。すげー集中力…」


キッチンから水を取って、リビングを見渡せるダイニングテーブルに凭れた。


半開きの口から時々何か呟きながら、眉を寄せる真剣な横顔…。

…昔っから変わらないよなー。

その横顔は、いつも新しい物を求めていて、貪欲だ…。

冷めた目でその動向を見守る事なんて、そんな事を周りにさせやしない熱血漢…。

穏やかで可愛いくてヤンチャなだけじゃない。


「…そーいうとこが…」

…好きなんだけどね。


こんなに大切な奴…他にいない。


頭に被っていたタオルを取って、短くなり乾きの早くなった髪を手櫛で整える。

静かなリビングに軽いハミングが聴こえてきて、画面を見ればアンコールの終盤。


画面に映し出される自分たちと、輝くスポットライトとペンライトに頭の中に歓声が甦る…。

「ふふ。早く次のライブやりたいなぁ」

終わったばっかなのに…。


リモコンへと伸ばされる手に、ダイニングテーブルから離れてソファへ歩み寄った。


ヘッドフォンを外すその隣に腰を下ろす。


Ki「あ…」


仕事から帰ってきた、愛しい恋人の隣に。

Ki→←F



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設定タグ:キスマイ , 俺足 , 藤北   
作品ジャンル:タレント
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作者名:みつか | 作成日時:2017年9月2日 11時

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