F ページ31
at 午後23時
「ただい……ぁ」
…クセってこわっ。
玄関の先リビングに続く扉に向かって、2日連続で発しかけた自分の声に妙に恥ずかしくなってそそくさと靴を脱ぐ…。
『おー、おかえりー』
当たり前のように毎回迎えてくれてるわけじゃないけど…、なぜだかその姿をその声を期待している自分に、顔が熱くなる…。
「はぁ〜…早く寝よ」
きっと、満たされない何かがそうさせてるんだろうな…。
棚に靴を仕舞うのもなんだか面倒で、そのまま放置してお気に入りのスリッパに足を通した。
リビングにも直接入らずに浴室に直行。
…お湯貯める?…うーん…
「シャワーでいいや…」
久しぶりにゆっくりしないでササッと済ませたシャワーは、やっぱり疲れが解れなくて、珍しく眠気に負けそうな目を擦る…。
「…あー…抱っこして寝たい…」
『何をだよっ』
なんて、襲う睡魔に唆されて欲求そのままに口に出せば、頭ん中でツッコミ入れられた。
「…イテッ…んもー…」
明かりもつけずにリビング入るからいけないんだけど…。
ぶつけた足の指をニギニギして、寝室にそのまま…。
「あ。スマホ、スマホ…」
鞄…。
「お風呂場かよ…」
…何してるんだ俺。
ブツブツ自分に文句つけながら、漸く目的のドアにたどり着く…。
楽屋を出る間際、やっと既読がついたトーク。
「返信ありませんねー…」
ま、朝になれば返信がきてるだろうし。
それはそれで楽しみだし。
ベッドサイドの充電器に差し込んで、ぼふっとベッドに身体を投げ出す…。
途端に落ちる目蓋。
モゾモゾと手探りで、いつも二人で取り合いになる抱き枕を探す…。
北山の匂いの残る手触りの良いソレは、いつも独り寝の時に安眠を与えてくれる…。
「おやすみ…」
きっと今ごろスヤスヤ眠っているであろう寝顔を思い浮かべて、誘われるまま眠りに…。
Ki『おい、こら』
…ん?
…おいこら?
おやすみなさい、でしょ?
Ki『…おい、抱き枕取ってんなよ』
…もー…頭ん中で話す時くらい文句言うなよ…。
「…うるさい」
Ki「んだと?返せよっ」
「…や…」
…ん?
…あれ?
何?俺…頭ん中の北山と会話しちゃってんの?
あー夢か?今日寝つきいいなー…。
Ki「…おいって、…藤ヶ谷!」
……は?
パチッと目を開く…。
Ki「ただいまくらい言え」
「た…だい…ま?」
Ki「おかえり」
…へ?
Ki「ん!抱き枕返して」
膨れっ面の愛しい顔があった…。
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作者名:みつか | 作成日時:2017年9月2日 11時