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夏油と七海くんの間にほとんど強制的に座らせられた(二人とも随分私より背が高いと思うのに、座高はそれほどでもなかった。身長の中で足が占める割合が高いのだろう)。二人とも大変顔が良いので──自称グッドルッキングガイほどじゃないが──こんなに顔が近いと困る。
七海くんは条件を見て、表情こそ変えなかったが嫌な雰囲気になっているはわかった。そりゃあ、初対面の人間とやるのはね……、表情を変えなかったのは私に対する気持ちばかりの配慮だろう。まあ未来の彼とは接点がかなりあるため、その雰囲気を読み取れたのだが。
前もこんなお題があったような、なんて思いながらそっと耳を両手で塞ぐ。
「いや、塞いでたらダメでしょう」
「ウワァ──ッやめてくれ七海くんホント許してくれ」
「はーいじっとしようね〜」
そんな子供に注射する時の掛け声みたいな……。
夏油が簡単に私の手を下ろさせ、ふ、と耳に息を吹きかける。わかってはいたが急にくるとやはり驚くもので、びくっと肩を跳ねさせた。一瞬手の力が抜けて、七海くんにも同じようにされた。下がる場所なんかないのに、足を立ててずりっと退がろうとしてしまう。
夏油も七海くんも私の手を持ったままだった。吐息がかかる度に脊髄反射のように手を動かしてしまうので、私でもその対応は正解だと思う。七海くんは普通に手首をもってくれているが、夏油は何故か手を握っている。さっきからメッチャ爪を立ててしまっているんだが大丈夫だろうか……。
吐息だけならなんとか我慢できたけれど、夏油が時折唇で耳たぶを食む。すぐに手に力を入れてしまうから、握っている彼なら私が反応しているのをゼロから十までわかってしまう。
「ひうっ」
「あ、すみません」
七海くんが歯を立てた。至極普通の調子で謝られたが、それに返答する余裕もないことをわかってほしい。出てしまった声が恥ずかしくて一気に顔が赤くなって、顔も覆えないこの状況にいよいよ進退窮まる。びく、と必ず体の何処かが反応してしまうのだ。意思ではない。断じて。
荒い息は疑いようもなく私で、私がスーパーサイヤ人なら何分でも息を止めていた。トリコでもいい。
「……ドア開いてますよ夏油先輩」
「え」
「ああ、そう? 気づかなかった」
コイツ殺すぞ。
片手で私を引き上げた野郎の前髪を、割と殺意を高めにして引っ張った。「イテッ」だとか知るか。七海くん万々歳だわボケ。
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七海、灰原 「制限時間:三十分」→←七海、夏油 「耳責めしろ」
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coco - 更新待ってまる (1月13日 7時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 愛実さん» コメントありがとう御座います!此方こそリクエストありがとう御座いました。更新再開の目途は全くたっておりませんが、再開を心待ちにしてくれている方達にホント申し訳ないので頑張りたいです……!! (2021年12月22日 12時) (レス) id: cabf6df670 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - リクエスト、書いて下さりありがとうございます!また更新を再開してくださるまで待っています…!! (2021年12月19日 18時) (レス) @page37 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - ねいるさん» コメントありがとう御座います、今のところリクエストを再開するつもりはありません。連載再開を目指したいのは山々ですが、再開するにも数か月はかかると思っておいてくれると助かります……。 (2021年12月6日 16時) (レス) id: cabf6df670 (このIDを非表示/違反報告)
ねいる(プロフ) - リクエストが再会するのはいつですか?? (2021年12月3日 18時) (レス) id: 0c9247bbc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2021年8月28日 17時