七海、灰原 「制限時間:三十分」 ページ11
リクエスト。
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目の前にある溌溂そうな顔が申し訳なさにきゅっとなるのが、むしろ私を申し訳なくさせている。
こちらの黒髪の方は灰原雄(灰原くんと呼ぼう)。七海くんのクラスメートで、尊敬する人は夏油らしい。マジで? と私は言ったが逆に不思議そうな顔をされた。いや……、いや、ちょっと顔が胡散臭い以外は確かにいいヤツだと思うよ。
ほとんど正方形のような形の場所に閉じ込められた私と七海くんと灰原くん。七海くんは私の後ろ、灰原くんは私の前である。正方形なだけあって体をどうしまえばいいかわからないようで、七海くんは非常に行儀の悪いことに私と灰原くんの顔の真横に足を置いていた。
七海くん足ドンって言葉知ってる? と訊こうと思ったがやめた。優しい先輩なのでね、私。
「今なにか失礼なことを考えましたか」
「こんな状況でそんな悠長なこと考えられるワケないじゃないか〜〜」
「七海、そんなこと言ってAさんに失礼だろ! ただでさえ窮屈な思いさせてるのに」
「…………」
七海くんがものすごく何か言いたげに押し黙った。灰原くんの鶴の一声はすごい、どうやってこうも七海くんを手玉に取ることができるのか。けどよくよく考えたら七海さんってだいぶ押しに弱いよな……、五条先生に絡まれてる姿ばっかり見てるからかもしんねぇけど。
まぁ確かに窮屈な思いはしている。なにせ二人とも男子高校生。これで私が170越えの身長を叩き出していたら流石にマズいかもしれないが、とりあえずはこの正方形の中に私達はすっかり入っている。
もちろん七海くんは灰原くんに足ドンしてるし、灰原くんは私のことを抱き締めている位置にいるし(そのせいでさっきからこそばゆい)、私は七海くんの足の間に体が入っている。正直スカートの位置が危なげで絵面的にはだいぶヤバい。
「……七海七海、Aさんすごく良い匂いする」
「は? ……は?」
「ちょっと待って灰原くん乙女の全部が全部いい匂いするって思わないで。柔軟剤とか使ってないから本気で待って訓練の後だから絶対汗くさいってねえ嘘でしょ? やめて髪の毛触んないでちょっと七海くん助けて!!」
「ちょっ、足あげないでください下着見えますよ!」
「これ下着じゃねぇよちゃんと下に履いてんよ!!」
「そういう問題じゃないんですよ!!」
灰原くんは女の子は全部良い匂いがすると思っている少女漫画脳なのかもしれないということが発覚した(※私がそう思っただけ)。
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coco - 更新待ってまる (1月13日 7時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 愛実さん» コメントありがとう御座います!此方こそリクエストありがとう御座いました。更新再開の目途は全くたっておりませんが、再開を心待ちにしてくれている方達にホント申し訳ないので頑張りたいです……!! (2021年12月22日 12時) (レス) id: cabf6df670 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - リクエスト、書いて下さりありがとうございます!また更新を再開してくださるまで待っています…!! (2021年12月19日 18時) (レス) @page37 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - ねいるさん» コメントありがとう御座います、今のところリクエストを再開するつもりはありません。連載再開を目指したいのは山々ですが、再開するにも数か月はかかると思っておいてくれると助かります……。 (2021年12月6日 16時) (レス) id: cabf6df670 (このIDを非表示/違反報告)
ねいる(プロフ) - リクエストが再会するのはいつですか?? (2021年12月3日 18時) (レス) id: 0c9247bbc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2021年8月28日 17時