【呪術廻戦】 待て、を飲み込んだ。【○○しないと出られない部屋】 弐巻

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　もしや虎杖は私が知らん人と閉じ込められてもこんなことをやると思っているのだろうか。いや、やるが(反語じゃない)。いや普通にやるが、そういうことじゃない。そこに必ず躊躇は存在しているし、そもそも何かをすることが大前提のこの部屋なのだから、そこに至るまでの過程が大事なのだ。

　甚爾さんや夏油にコレをやるのと──いや一番わかりやすいのは真人だろうか──虎杖や五条先生にやる対応とは全く違う。流石にそのあたりはわかっていて欲しいが。だってそうじゃなかったら私マジモンのクソビッチだしな。



「だから別に、警戒心を持ってないワケじゃない」

「…………」



　心底疑わしい目で見てくる虎杖。なんだその目は。未だかつてこんなにも人から信用されてない目をされたことがあったか。



「俺、絶対Aは将来人たらしになると思ってる」

「人をたらしこむのは才能だぞ。できるだけ色んな人をたらしこんだ方が良いに決まってるだろ」

「五条先生でも？」

「前言撤回」



　流石にそれはヤバい、と即座に前言を翻す。命のためなら私は意見でも掌でも何でも翻す所存だ。別に自分を虎杖が言うような人たらしだと思っているワケじゃないけど、五条先生に気に入られたり目を付けられたりしたらロクでもないことになるのは確定してんだろ。

　虎杖なんて巻き込まれてる人間筆頭だし──いや、それに関しては虎杖が五条先生たち……、どころか呪術界全体を巻き込んでるのか。よく考えるとヤベーヤツと友達だよな。


　虎杖は「……んや、もうオマエがそういうんは気にしないことにする」と色々納得してなさそうな目で言った。なんだよ言いたいことがあるんなら言えよ〜〜〜〜！ 喧嘩のタイムセールしてんならちゃんと買うぞ〜〜〜！？



「なんだよ喧嘩のタイムセールって。時々オマエの発想が怖くなるよ」

「五分後にはオマエは返り血で真っ赤に染まっているだろうさ」

「こわ……ていうかそれオマエが負けてんじゃん」



　宿儺の器に勝てるワケねぇだろうが、ただでさえ術式も使えねぇのに。

　虎杖は「ん」と手を差し出した。目の前の相手に「あーん」と言われれば口を開いてしまうような反射で、その上にぽんっと手を置いてしまう。指先、ほとんど爪のあたりに少し湿った感触がする。一瞬強張った体から、すとんと肩が下りた。……びっくりしたー。




「お姫様扱い？ 野薔薇にやったげてよ」

「釘崎は女王様だろ」

「言えてるけどチクっちゃお」

「えぇ！？」



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