【呪術廻戦】 待て、を飲み込んだ。【○○しないと出られない部屋】 弐巻

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　無限が張られていなかったせいで、五条先生の服は唾液と涙でべとべとになっている。まだ整わない息で「ふ、服……、ごめん、なさ、」と途切れ途切れに謝る。酸欠と羞恥でぼろぼろ零れる涙を見て、五条先生は頭でも痛いかのような顔をした。きまりの悪そうな顔に、こちらがきょとんとする。



「あー……、ごめん。そんな顔させたのは僕だけど、さっき僕が来た部屋のお題が君に──その、性的な仕置きをしろってやつでさ。流石に担任に処女捧げるとか嫌でしょ」

「ワードが最低」



　よく生徒の前でそんな最低ワードを出せるな。いや元から性格は最低だけど。



「でもまあ気持ちよかっただろうしイーブンだよね」

「え？ 最低すぎて言葉もでない……ダメだこの担任……」



　こわ……と自分の腕をかき抱く。前々からヤバいヤツだとは思ってたけど、教え子に手ェ出すとこまで腐ってるとは思わなかった。でも前も似たようなことやんなかったっけ？ つーかファーストキス五条先生じゃん。大して状況変わってないな。

　しかし五条先生は「ほら早く立ちなよ」なんて言って私のことを見下ろす。うるせぇなこの教師……、アンタのせいだろうが……。



「……え、なに、真面目に腰抜けてんの？」




　先程から妙に口数の多かった五条先生はパタリと口を止め、じっと私を見下ろす。居心地の悪さに何度か腕を地面に立てるが、それ以上がどう頑張っても持ち上がらない。なんでこんなことしなきゃならねぇんだと死んだ目をしていたら、「乗って」と背中を向けて屈む五条先生。

　選択肢なんてあってないようなものだったので、大人しく彼の首に手を回すと軽々持ち上げられる。百九十の身長ヤバい。怖い。



「すみません、あの、ごめんなさい」

「元は僕のせい……、ていうかこの部屋のせいだし、むしろ謝るのは僕のほうでしょ」



　五条先生が歩きながらそんなことを言う。そして扉を開けた直後、──「へ？」と間抜けな声を出した。





　そこにいたのは夜蛾学長だった。





「……遺言は？ 悟」

「待って誤解」

「一部始終なら見た」

「それ僕の一分前の言葉は聞いてないパターンだろちょっと」



　夜蛾学長は容赦なく五条先生にビンタをかました(滅茶苦茶スカッとした)。「ガッデムってクソ久しぶりに言っていい……？」とか大の大人が頬を押さえ呟いていたが、どういう意味だかわからなかったので「なに言ってるんですか？」と純粋な疑問で聞いた。彼は今度こそガッデム、とつぶやきながら天を仰いだ。


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