【呪術廻戦】 待て、を飲み込んだ。【○○しないと出られない部屋】 弐巻

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　足をじたばたと動かせば、割り開くように五条先生の足が押し入るのに思わずびくりと肩を縮こませた。なにが無理って、もう全部無理だ。キスだけでいっぱいいっぱいどころか溢れてしまいそうなのに、足も密着してるし体も触れているし、頭なんて酸欠で霞がかったようにぼうっとしている。


「苦しい？」

「えほッ、げほ、ご──や、もう、やだ、」

「口じゃないよ。鼻で息して……、つって、彼氏いたことないんだっけ」

「なんで、いきなり、はあ、貶、してくるんで、すか」



　五条先生は「貶してるつもりないよ」なんてうそぶく。なんて奴だ。

　流石に咳き込むのは止まったけれどまだ荒い息を整えるより先、五条先生のことを引きはがそうとする。しかし五条先生にぱしりと手首を捕らえられて壁に縫い付けられた──スカートごと膝で押し付けられている足も全然動かないし、文字通り手も足も出ない。


　本格的にどうしようもなくなって、キスの最中でさえ散々に暴れていた私の体から力が抜けてく。視線の行き場がなくなって、そっと五条先生のことを見上げればぱくりと耳を彼の口の中に含まれる。ひっと悲鳴が漏れた。そんな、そんなことは、されたことがなかった。

　気持ち悪いのか気持ちいいのか、とにかく自分がいま考えていることが全部しっちゃかめっちゃかになっていく気がする。生暖かい吐息が耳の裏にかかって、咄嗟に──いやこれは本当にマジで本当──五条先生の肩に噛みついた。まずかったし(美味しい訳あるか)息もしづらいが、声は出なくなる。


「……どんだけ慣れてないの」なんて呆れたような声が耳元でして、反射的に噛む力を強めてしまう。しかし五条先生は別にいいよ、なんて言って耳の中に舌を入れる。さっきのキスでされたような乱暴さがは拭い切れておらず、ぐちゃ、なんて耐えきれないような水音が脳の真ん中でしているような気さえした。




「んんﾞ、ふぐっ、むﾞ……、は、は──っ、」




　しばらくして五条先生の舌が抜かれて、すぐに私も彼の肩から口を離した。不規則な呼吸を重ねる私をまるであやすように背中をとんとんと叩く。終わったのか。少なくともこれ以上はこないのか、と安堵した処で、がくりと膝の力が抜けた。

　おっと、なんて言いながらすぐに五条先生は私を抱きかかえ、「腰抜けちゃったの？」と上目遣いで私を見つめてくる。腰が抜ける体験なんてそうそうないが、下肢に足が入らないのは確かだった。



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