【呪術廻戦】 待て、を飲み込んだ。【○○しないと出られない部屋】 弐巻

虎杖悠仁　「股ドン、入浴、服を交換しろ」 ページ20

リクエスト。


.



　虎杖は顔を真っ赤にさせながら、「マジかー……」と呟いた。私も流石に立ち尽くして、「あー」とも「うー」ともつかぬ呻き声を発する──まあ、仕方ない。仕方ないことは知っているが、割と脳がこの条件を理解するのに拒否反応を示している。

　ただ復活するのは私の方が速かった。「マジ？ マジで？」などと繰り返している虎杖の制服を掴んでずるずる壁際に引きずる。ほとんど虎杖がついてきてくれたようなモンだけれど。



「どうぞ」

「相変わらず判断が速いよねオマエ」

「お褒めに与りましてどうも」

「今褒めたんかな俺……？」



　ぺろっと舌を出すと、虎杖がぷっと噴き出す。少なくともそれで緊張は解けたらしい。流石にただの友達と入浴するというハードルは高すぎるが、その前にこういうサックリした(全然サックリしてないが)条件があるとやりやすいのかもしれない。

　どうぞ！！ と全力で腕を広げる私を見て、虎杖はちょっと困った顔をして「腕広げる必要はなくねぇ？」と言った。……そう、ダネ…………。でもコレ気持ち的な問題だから。いつでもオールオッケー準備万端って意味だから。……意味重複しすぎじゃね？ 語彙力ないって丸わかりじゃん。やば。




　虎杖は私の横に手を突くと、「こう？」と訊きながら私の足の間に膝を置く──よく女子に訊ねる気になったなオマエ。こんな状況で言う言葉か。


　壁に突かれるのが手から肘に変わった。まあな、位置的にはそうなるよな……、と思いつつ虎杖の顔がすぐ近くにあるのが耐えれなくてそっぽを向く。背ぇ高いな〜〜、中学の時既に百八十センチ超えてるヤツとかいたけど、こっちの方が高く感じるなあ。

　なんでだろと思って、すぐに遠近法かと気付く。いや遠近法などとほざけるほどソイツとの距離が遠かったんじゃないが、今の虎杖との距離が近すぎるのだ。足、──いまさら、今更だけど足すげえ、ギリギリじゃね？ 大丈夫？ 太腿思いっきり触れてんだけど。だい、え、大丈夫か。




「……？ あれ、なんか、Aメッチャ良い匂いすんね？」

「あ、そ？」

「うん。柔軟剤かな」

「────。虎杖、オマエモテないとか嘘だろ」

「急にどうした！？」




　うるせえ、と私は虎杖の顎を掴んで押し戻した。「いてっ」と言うヤツに同情に気持ちは起こらない。……クソ、絶対ェ顔赤え。


.

　→←五条、虎杖、伏黒、釘崎、狗巻　「どう思っている？」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す