【呪術廻戦】 待て、を飲み込んだ。【○○しないと出られない部屋】 弐巻

狗巻棘　「バックハグしろ」 ページ14

リクエスト。


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　狗巻先輩と私では、身長(タッパ)はそれほど変わらないし体格だってどちらが見劣りするということもない。身長的には恐らく彼の方が一・二センチ高いと思うけれど、体の厳つさなんてのが狗巻先輩に見えるワケもなし。髪と服さえ変えれば、後ろから見られても誤魔化せるくらいだろう。

　何でいまさらこんなことをクドクド喋っているのかと言うと、要するに今までのバックハグは相手の方がデカかったから一応為されるがままみたいな感じであっただけで、つまりどういうことかって抱き締められる方なのはもう勘弁してください(本音)。たった一文でいいのに長々言ってスミマセンッ！！



「……？ しゃけ。すじこ」

「アッいいの！？」



　驚きである。狗巻先輩地味にプライドあるから(失礼)、そういうのは男の矜持が〜とか言って断ってくるかと思ったのに。思わず敬語の抜け落ちた私の言葉を聞き、彼はふわりと笑って「しゃけ」──いいよ、と繰り返す。


　──うわぁ、これ、この人が普通の言葉喋んなくてよかったな。


　この顔でこの声で、更におにぎりの具以外の言葉を言われたら、たぶん完璧にオチていた。はわわ狗巻先輩かわいい……、やべ〜最近狗巻先輩に対してかわいいしか言ってねぇ気がする。本人に言ったら流石に怒られそうだな、と無表情を務めつつ「失礼します」と背後に回った。

　抱き締められるのとは随分違うんだな、という感想のみが頭にポンッと浮かぶ。されている時は恥ずかしさで元の体温が思い切り上がっていたから、体温が移る背中のことも「温かいな」ぐらいにしか思わなかったけれど──なるほど此方側に回ってみると、体温がひどくゆっくりにしか伝わらない。




「いや、でも──温かいですね」

「ツナマヨ」




　そうだろう、とくすくす笑う狗巻先輩に笑みが零れる。かわいい人だ。見た目のかわいさもそうだけれど、なんだかそういうのとはちょっと違うかわいさだ。


　あったかいです、と私はもう一度呟いた。


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