酔って、踊って、叫んで、笑って、泣いて、赦して、生きて。【鬼滅の刃】

3　『冷酷な新人』 ページ3

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「え！？ 何そんな嫌だった！？」

「────」

「うわぁ可哀想冨岡！」
「最低だな」
「ぶふっ、ごほ、腹痛ェ……」




　わたわたとしながら冨岡の顔を覗き込んでも、ぽろぽろと何も言わずに涙を流し続けるだけ。ええ〜〜こういう時ぐらい喋ってくれよ〜〜と切実に思った。つか未だに笑ってる奴いんのな流石に失礼だな。

　それほどまでに三つ編みが気に入らなかったかと、私は彼の後ろに手を伸ばす。だが不意に冨岡が発した「……ねえさん」という言葉に動きを止めた。他の奴等には聞こえなかったようで、「どうした？」と何とも呑気な声が飛ぶ。


　姉さん──コイツ姉なんかいたのか、と思いながら会話を成立させようとして、




「ダメだコイツ寝落ちしやがった」

「何歳だっけ、二十一か。ソリャこんだけ酒飲まされてりゃ大概は潰れるわな」




　宇髄がもっともだという口調で言った。


　冨岡はガクンといきなり脱力したかと思うと、目の前のテーブルに向かって頭突きをかましたのだ。いや寝落ちというのはその赤く染まった寝顔を見ればわかるんだけど、こう唐突にそんな風にされるとAさん困っちゃうな……。困っちゃうな……。

　だが、流石にこのままにしておく訳にもいくまい。どうやら泣き上戸らしかった冨岡を引っ張って、近くの壁に凭れかからせる。使用人が「運びます」と言ってくれたが、もしかしたら起きるかもしれないのでこのままで良いと言った。


　一番最初に脱落したのは冨岡。これは意外といえば意外だったんだけれど、でも消去法でいったらこんな感じかと思った。だって未成年はそもそも酒飲んでねぇから潰れねぇし。

　時透あたりはすごい嫌な顔している。普段とほとんど変わらないように見えるが、眉根が若干寄せられてるんだなあ。



　もしかしたら酒飲むことでショック療法として記憶が戻るかもしれんぞ、と誘ってみたのだが、「あなたみたいになりたくないのでいらない」と返答された。泣いた。


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