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「──まあまあ、みんな待てよ」
好きに騒ぎ立てるのを制したのは、不死川が刺そうとしていた箱の上に座るAだった。ぶらぶらと足を空中に放り投げ、遊んでいるように見える。実際彼女は遊んでいる。
──彼女の本質は、『人生楽しく生きていきたい』というものだ。ただ楽しく生きる為には、生活を脅かす『鬼』が邪魔だった。だから鬼殺隊に入った。楽しく生きるには、上の人間から命令されることなんて以ての外だ。だから一番強い階級になった。
つまるところ、遊び人なのだ。金が欲しい、酒が欲しい、遊びたい。
皆そうであれば良いのに、と思う。皆、自分に正直に、やりたいようにやれば良いのにと。
この世は弱肉強食だ。強い奴が生を謳歌し、弱い奴が泥水を啜る。それでいい。それが一番単純だ。
だが。
「お前ら『待て』もできねぇガキかよ。やりたい放題言って相手の言い分は聞かねぇでそのまま殺すのかよ。最悪だな、最ッ高に最悪だな」
「──ぶち殺すぞ双柳ィ」
「は。できるもんならやれよ。やれねぇだろ? ……最近ガチでやり合ったことなかったな。やるか。久々に」
ニィッと口角を引き上げ、凶悪に、妖艶に笑うA。不死川から殺意が爆発し、それはAに襲い掛かるだけでなく彼に押さえられている炭治郎にも浴びせられた。ぞわり、と全身が総毛立ち粟立つ。気絶できるものならしたかった、それぐらいに『柱』の強烈な殺意は凄かったのだ。
そしてそれを止められるのは、今この場でたった一人だけ。
「A」
「────」
「……A」
「──。────。あぁ、わぁってますよ。別に本気でやり合おうって訳じゃ……、いや、まあ半分ぐらい面白そうだなって思いましたけど、最初は本当に冗談でしたから。ただ私は、あなたの──」
Aはそこで一度言葉を切った。そして炭治郎のことを横目で見た。
じろり、と値踏みするような視線を浴びて、僅かに腰がひける。幸いなのは不死川に押さえつけられていた為、後退りができなかったことだろう。
「──あなたと、少年の言い分を聞いてから判断したい」
Aはそう言い切った。
炭治郎のことを、あくまで公平に判断すると、言い切った。
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白夜の世界(プロフ) - ふぐひらめさん» これたぶん何柱って考えるの面倒だったからこうなってますね(笑)。というか主人公の名前を最初に双柳に設定しちゃったからなぁ〜〜って感じがします。ずいぶん前の作品になりますが読んでくださり嬉しいです……。 (2021年7月31日 19時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - 樹柱って言われると…死ぬ前シリーズの榊原ししょー思い出すなぁ……… (2021年7月31日 16時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - 白夜の世界さん» わかります、わかります!!(ーー゛)ウンウン 同じような単語とか言葉とか並べるってなんか響きいいですよね!!?(語彙力消滅☆)今更気づいたんですが、私、あなた様の作品割と読んでました(*゚∀゚) そして気づきました。私、作品だけじゃなく作者様も好きです((( (2020年9月11日 21時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 題名は結構悩んだんですよねー!パッと決まるのもあるんですが、今回はテーマが曖昧だったので……。人生色々あるけど、もうなんとかやってこう、という思いで様々な単語を続けました。最後を「て」で止めてるのが、終わらないって感じで自分的には好きです(笑)。 (2020年9月11日 20時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - あの、すごくこの作品好きです。長い題名だけど、短い短編の中にちゃんと入ってて。もう最期かもしれないけど、会えないかもしれないけど、生きていこうっていうのがすごく感動っていうか、泣きたくなるっていうか…(語彙力が…)まとめるとこの作品好きってことです! (2020年9月10日 22時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年8月30日 13時