ページ ページ11
.
剣呑な雰囲気を払拭するように、あのぉ、と間延びした声が響き渡る。
「でも疑問があるんですけど……、お館様がこのことを把握してないとは思えないです。勝手に処分しちゃっていいんでしょうか? いらっしゃるまでとりあえず待った方が……」
「やだ甘露寺ド正論〜!」
ぶわははと噴き出して笑うAを、炭治郎は息を呑んで見つめた。先程とは一転した雰囲気──まるで別人格が成り代わったと言われても納得できるぐらいだ。……ただ、いや、だけれど。
──匂いが、同じだ。
さっきも、怒ってる匂いは僅かにしかしなかった。怒りというよりも、『くだらない』『面白い』とかいう、もっとプラスの感情の匂いが勝っているように思えた。表情と感情が一致しない──というより、たぶんさっきのが演技だっただけだろう。今の匂いはきちんとプラスだ。
だが炭治郎には、それが随分と恐ろしく思える。
だって、内面と外面が一致しない人物は、必ずどこかで歪さが表面に出る。それはきっと、とても悲しいことだと思う。何故だかしのぶと同じような匂いがして、炭治郎は少し不思議に思った。二人は全く違う性格に見えるのに。
「鬼を連れた馬鹿隊員ってのはそいつかィ?」
「おっ、不死川。何それ」
慌てた隠が制止するのも聞かずに現れたのは、銀髪の長身の男(鬼殺隊員はほとんどが一般人より体格が良いから特に明記する必要もないと思うが)、不死川実弥だった。
軽く手をあげる彼女を「鬼に決まってんだろォが」と忌々し気に見る。それから嘲笑的な笑みを浮かべ、炭治郎を侮蔑の瞳で見た。『家族を殺された者』として当然の反応だが、Aは薄く猫目を細める。
しのぶが普段よりも少しキツイ口調で、「勝手なことをしないで下さい」と言う。不死川はそれを無視して刀に手を掛けた。
「鬼がなんだって坊主、鬼殺隊として人を守る為に戦えるゥ? そんなことはなァ……、有り得ねェんだよ馬鹿が!!」
.
75人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白夜の世界(プロフ) - ふぐひらめさん» これたぶん何柱って考えるの面倒だったからこうなってますね(笑)。というか主人公の名前を最初に双柳に設定しちゃったからなぁ〜〜って感じがします。ずいぶん前の作品になりますが読んでくださり嬉しいです……。 (2021年7月31日 19時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - 樹柱って言われると…死ぬ前シリーズの榊原ししょー思い出すなぁ……… (2021年7月31日 16時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - 白夜の世界さん» わかります、わかります!!(ーー゛)ウンウン 同じような単語とか言葉とか並べるってなんか響きいいですよね!!?(語彙力消滅☆)今更気づいたんですが、私、あなた様の作品割と読んでました(*゚∀゚) そして気づきました。私、作品だけじゃなく作者様も好きです((( (2020年9月11日 21時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 題名は結構悩んだんですよねー!パッと決まるのもあるんですが、今回はテーマが曖昧だったので……。人生色々あるけど、もうなんとかやってこう、という思いで様々な単語を続けました。最後を「て」で止めてるのが、終わらないって感じで自分的には好きです(笑)。 (2020年9月11日 20時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - あの、すごくこの作品好きです。長い題名だけど、短い短編の中にちゃんと入ってて。もう最期かもしれないけど、会えないかもしれないけど、生きていこうっていうのがすごく感動っていうか、泣きたくなるっていうか…(語彙力が…)まとめるとこの作品好きってことです! (2020年9月10日 22時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年8月30日 13時