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#6 流石皆さん ページ7

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 そうだよ……慥かに成績は人に高らかに云える程良いモンじゃなかったけどさ……、といじけながらちびちびとカフェオレを飲む。既にぬるくなってしまったが、コレが良いのだ。しかしこれは如何なる友人達にも理解はしてもらえない。

 丁度その時、女給さんがやつがれ君の注文を持ってきてくれた。「熱い焙じ茶と汁粉のお客さ」──最後まで云い終えることができなかったのは、彼女がやつがれ君の長い服の長外套(コート)の裾を踏んでしまったからだ。



 踏鞴(たたら)を踏んだ彼女の手から、湯気が立っている茶が離された。お盆と一緒に空を舞ったそれが、やつがれ君の頭上を、



 私を除く探偵社員が反射的に飛び出したが、そのお茶は見事というべきぐらいの流れで彼に降りかかった。確実に火傷をしているであろうぐらいの熱さのそれだった。



『ととと……、大丈夫ですか?』

「はっ……はい、お客、様は」

『んー。此方は大丈夫そうだ。何せ人ならざるモンを従えてるんでね』



 女給さんは顔面蒼白になった顔で問いかけるが、私は彼女を抱き起こしながらそう答える。


 ──やつがれ君は火傷を負うこともなく、何なら体をほぼ動かすことなく、その高熱の液体を全て受け止めていた。彼の異様な反応速度と、それに対応できる程の素早さを持っている異能力によって。

 誰ぞ火傷はないか、と問いかけるやつがれ君。見事に何の感情も籠っていなかった。笑い出したいくらいの清々しい無感情っぷりに、私だけが『やぁ、此方のお人は大丈夫だよ』と伝える。他の二人──、国木田さんと谷崎君は、何も云わないし、動かない。


 あと少しで、彼に拳銃を向けてしまっていただろうから。



 いやぁ、自分に向けられた殺気ではないとはいえ、今のはかなり応えたね。どれだけ君は死線を掻い潜って来たんだっていうぐらいに、濃密で凝縮された殺気だった。

 冷や汗が滴った背中を気取られないように、二人に笑いかける。大丈夫だ、何も問題はない……、今は。


 国木田さんは緊張を全てその溜め息に注ぎ込んだような域を吐いて、それから、自分の拳銃を閉まった。谷崎君もそれを見て、ふゥ、と息を吐く。



 そしてちょうどその時、喫茶店の扉が開く音が鳴った。軽やかなその音に、「あ」と谷崎君が声を上げる。彼の労わるような声とは真逆に、国木田さんは責めるような口調で「遅いぞ」と告げた。


 私もそちらを、ゆっくりと振り返った。


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ゔい(プロフ) - 今更ごめんなさい。はじめまして。初コメです。面白すぎて一気読みしてしまいました。主人公も終わり方も天才的です。本当にありがとうごさまいます。ありがとうございます…… (2022年11月25日 18時) (レス) @page43 id: 4eb6cf0149 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - over the rainさん» 毎日読んでくれましたか!!先に全部書き終えておいて一日更新にしておいた甲斐がありました……!本編はそうはいかないので三日毎更新ですが、これからも上手く書けるように頑張りたいと思います。 (2020年7月8日 15時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - Beast完結(?)おめでとうございます!毎日楽しみに読んでいました!本編も応援してます! (2020年7月8日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 桜ノ呼吸の使い手さん» コメントありがとう御座います、はい完結致しましたァ〜〜!!面白く飽きのこないような作品を作っていきたいと思っているので、本編の方も頑張っていきたいと思っています。 (2020年7月7日 20時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ呼吸の使い手 - え!?こんなに面白い作品が書けるんですか!?初コメですが完結おめでとうございます! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e5b2323101 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/  
作成日時:2020年6月6日 17時

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