無理して ページ36
「っ、…………ろ！………………起きろ！！」
『！？』
目が覚めたのは見覚えのある白い天井。ああ、また倒れてしまったのか。
gr「良かった、目が覚めたか」
『グルッペン』
gr「すまない、無理をさせたばっかりに。あの人数をこんな短時間で終わらせてしまうとは……魔力切れくらい、予想できた筈、なのに」
『だ、大丈夫だから！ほら、休んで魔力も戻ったみたいだし！』
魔力切れ。それで倒れてしまったのか。疲労に気づけなかった私の責任だろう。
グルッペンは俺の所為だと譲らないが。
sn「起きた？大丈夫そうだね〜ごめんね、俺の仕事」
『全然大丈夫』
会話をしていると、共に治療をした係のお姉さんが来た。
グルッペンがいるにも関わらず、此方に足を進めてくる。
「ごめんなさい、ごめんなさい！私の不注意でした。本当にごめんなさい！」
『えっ、いや、お姉さん悪くないですよ！』
「……いえ。総統閣下、私を罰して下さい。彼女に無理をさせたのは、私の責任です」
そう言って彼女はグルッペンに跪き頭を下げる。
私は勿論、焦っているのだが。
『や、やめて下さい！こんな奴に跪く必要ないですよ！！』
gr「こんな奴とはまた随分な言い草だな。……係の者」
「っ、はい！」
gr「顔を上げろ」
「ですが…」
gr「いいから」
彼女は恐る恐るといった風に顔を上げ、涙目でグルッペンを見る。
怯えや悲しみは見えず、ただ申し訳なさが彼女の顔に映されていた。
gr「今まで通り治療に専念してくれ」
「……っ、はい…？」
gr「二度も言わせるな。今回はお前ではなく俺の責任だ」
『いや私の所為だし』
gr「お前は黙っとけ。兎に角、お前に罰は必要ない。…治療所にはお前が必要だ」
「！………仰せのままに…っ」
『お姉さん、良かったー！』
「っ、お止め下さい、私のような者に抱きつくなど…！」
この城の人達は、結構…いやかなり、身分の差を気にするらしい。
私はそんなの嫌で仕方が無いのだが。
『いいのいいの！私も平民だし！』
gr「………」
「では私はこれで」
『またいつでも手伝いに行きます！』
「ありがとう、ございます……！！」
彼女が医務室を出て、グルッペンは私を睨んでいた。今までにない目で。
『な、に』
gr「お前嘘ついてるだろ」
何の、事だか。嘘をついた覚えは毛頭ない。
寧ろ良心的な真実のみだろう(？)
gr「"平民"だと？お前は、何を隠している…」
『嘘じゃないし、何も隠してない』
gr「魔法を使って嘘を見抜く事ができるんだ」
『っ、！』
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
