運命の花を 阪神タイガース

預かる ページ31

廊下を歩いていると、

隅で邪魔にならないようにと、

縮こまって何かをしている彼女がいた。


鳥谷「Aちゃん、何してるの？」


声をかければビクッと反応して、


A「っ！と...鳥谷さん」


後ろに何かを隠して、少し悲しそうな顔をしている。


鳥谷「何隠したんだ？見せてみろよ」


そう催促すれば、おずおずと俺の前に出すそれは...


鳥谷「キーバックチェーン？」


A「はい...さっき壊してしまって...」


成る程な、それであんな顔してたのか。


見るからに直りそうもないそれを俺は手に取り、


鳥谷「これ、預かってもいいか？」


A「えっ！？、あの...どうぞ...？」


不思議そうな顔をするこいつ、

コロコロと表情を変えるこいつが面白くて、


鳥谷「ははっ、お前面白いな」


そう言えば、顔を真っ赤にするこいつ。

本当に面白いな...


こんなに気にしているのに、

惹かれていないと言ったら嘘になるだろう。


鳥谷「キーバックチェーン新しいの買うなよ？」


そう念をおして、壊れたこいつの物をポケットに入れて。


鳥谷「じゃあな、仕事、慣れない環境で大変だろうけど頑張れよ」


そう言って彼女のもとを離れた。


帰りに寄るとこが出来たな...

だけど、不思議と嫌な気持ちにはなれなかった。

もう、気づいているから、

周りがこうもお前のことを気にかけていれば自然と気にかけてしまうもんだし、

きっと、俺はお前が好きなんだろうな。

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