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「君一人くらいなら、それ程力もいらん」



同年代の女子と比べても細身なAは、触れれば折れてしまいそうな程、体重も軽い。

反射が良いのは鍛錬をしているからだし、熱が出ているからと言って、もう半日以上も寝ていたのだ。





そう話す俺に向かって、Aは首を横に振る。






「前はこんなに力強くなかったよ」



そして何より、最近の俺の声は変だと首を傾げるAは、あっと閃いたように俺の着ている着物を指す。







「着物だってキツそうだし、成長期ってやつかな」


「…成長期」



そう話すAに、俺は以前、母上に教えてもらった事を思い出す。




年齢を重ねていくにつれて、男女の差は明らかになり、声の低さも、食べる量も、物を持てる重さも変わってくるらしく、俺はなんだか違和感を感じる。


そして、女子には月経と言うものが来ることも、母上は俺に話した。







「あっ!!」



俺がそんなことを考えていると、Aは俺の布団を指して大きな声を出す。








「杏寿郎、薬飲んでないじゃない!」


「…これから飲もうと思っていたんだ」



言い訳をする俺に対して、母上に言いつけてやろうと、何故か生き生きとした表情で笑うAを捕まえて、俺は小芭内に押付け布団の中に戻った。



















「杏寿郎。薬、飲む。」


「…むぅ」



夕飯を食べ終わると、また薬の時間がやってくる。








「ほら、良薬は苦いもんなんだから」


「昼の時は

絶対上手いから飲んでみろと言っていたじゃないか」



薬が苦いということは知っていたが、解熱剤だから美味しいよなんて適当なことを言うAに乗せられ、俺は昼に悶絶した。








「仕方ない、杏寿郎が飲まないというなら

このさつまいもは私が」


「誰も飲まないとは言ってない!」



そっと後ろからさつまいもを出してきたAは、布団の横にそれを置き直し、俺に向かってほらと湯呑みを差し出す。







「杏寿郎、口開けて?」



少し起き上がった俺に対して、ニコリと可愛らしく笑うAは、そっと口元まで薬を運んでくれる。


俺の喉が動く度、嬉しそうに笑うAを見ていれば、知らぬ間に無くなっており、俺は褒美のさつまいもを貰う。






「わっしょい!」



口にさつまいもを含んだ途端、俺が思わずそう叫べば、Aはギョッとして俺を見た。







「わっしょい!」


「わ、わっしょい?」


「わっしょい!」








◇◇

悲報→←熱



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時

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