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◇◇









Aへ



もう見つけた手紙と重複してしまうかもしれないが、この手紙を隠す前、君のご家族と少し話をした。



これを君の部屋に隠すのも、君の兄上達と相談したんだ。君の兄上達は、やはり賢い人で、君を困らせようと必死に難しい場所に隠そうとしていた。



俺にとって、この手紙だけはあまり君に見つけられたくないので丁度良い。









最初に、この手紙を、この場所に隠したことについて、謝らせてくれ。


自分でも狡いことをしたと思っている。


君がこの部屋に来る時、つまりこの部屋を整理する時は、必ず煉獄家から出ていくときだと考えた。


一旦帰ってきただけなら良いが、もし君が再婚について悩んでいるなら、この手紙をゆっくり読んで欲しい。









俺が死んでしまった後、君には俺の事など忘れて、素敵な人と出会って欲しいと思った。


しかし、君が今までに俺にみせてくれた顔を他の男に向けたり、君を独り占め出来るやつがいるのだと想像したりするだけで、腹がねじれそうな程怒りが湧いてしまう。




君には悪いが、今の俺では素直におめでとうと言えない。





だから、もし君が本当に運命の人だと思えるような人にあったら、俺の墓まで1度連れてきてはくれないだろうか。





そして、もしその人との子が出来たら、見せに来てくれないだろうか。





毎年来てくれとは言わないから、数年に1度でも俺のことを思い出して欲しい。





そして、君が幸せになった時、俺は心から祝福できるよう頑張ろうと思う。









だから君は、思う存分幸せになってくれ。









◇◇









「…幸せになってくれ、」



いかにも杏寿郎らしい手紙の内容に、私は思わず笑ってしまう。






あなたは、手紙でも私のことばかりなのね。








私も、もう21歳。


結婚するなら今がちょうど良いのだろうけど、あなた無しの幸せなんて、私は望んでいない。







「…」




杏寿郎のお墓に行く度に、私の胸は締め付けられる。


もしかしたら、ひょっこり顔を出すんじゃないかなんて、今でも小さな期待を込めて、私は何度も足を運ぶ。









4つ見つけるのに、約2年。


あなたに本当に会える日も、そう遠くないわね。









◇◇

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時

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