今日:23 hit、昨日:4 hit、合計:332,879 hit
小|中|大
母 ページ37
・
その後、氷を溶かすように少しずつ話し出した私達は、今までの時間を取り戻すように距離を縮める。
「手紙、読まないのですか」
「…!」
あの日のように、泣いている頃だと思って来て差し上げたのに…と冗談っぽく言う母に、私は顔に熱がぶわっと広がっていく。
母が振袖を届けに来たあの日、悲しみに打ちひしがれていた私は、まさか見られていた…というか聞かれてたのかと、恥ずかしさから顔を手で隠す。
「わっ、私は泣いてませんよ」
「あら?そうだったの?」
では、そういうことにしておきましょうと笑うお母様に、私は少し言葉に詰まる。
「…それに、どんなに辛くても
私には泣く資格なんてありません」
そう私が目を伏せて話すと、お母様はふっと笑いを零して口を開いた。
「あなたと杏寿郎さんはそっくりね」
◇
そして数十分後。
母が出ていった部屋で、中身を見る決心の着いた私は、とうとう手紙の封を開けた。
◇◇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
1027人がお気に入り
1027人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時