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独り ページ4











槇寿郎さんが千寿郎を抱き上げ、台所を出ていくのと同時に、私もゆっくり立ち上がる。









「…」




静まり返るこの屋敷に、もう彼の体温は存在しない。






1人になってしまったせいか、目から今にも零れてしまいそうになる涙を上を向いて乾かす。


しかし、それでも溢れてきそうになるので、私はゆっくりと瞼を閉じて、目全体に水を浸透させた。









「…杏寿郎」



昨日の夜、行ってくるといつも通り元気な挨拶をして出ていった癖に、もうおかえりも言えないなんて。




負の感情が連鎖する中、なんとなく机に目を向ければ、用意していたさつまいもばかりの朝食。









あの安心する背中も、

うまいうまいと賑やかな声も、



もうこの世に存在しない。









「…杏寿郎、」




台所に置かれた椅子に腰かけ、私は何度も最愛の人物の名前を口に出す。









…あぁ、私は千寿郎の前で上手く笑えていただろうか









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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時

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