過去 ページ23
◇◇
「すっすみません!」
突然、玄関から女の子の声がする。
急いで向かってみれば、彼と同じ位派手な髪色をした女の子が、アタフタと慌てた様子で玄関に立っている。
「何か御用ですか?」
彼女が落ち着かせるため、ゆっくりと微笑んで話しかけると、彼女はポッと頬を染める。
「煉獄杏寿郎さんという方から、
継子にというお誘いを受けて!」
ここに来るよう言われました!と、緊張した様子で話す彼女に、そうでしたかと笑って返す。
一体、杏寿郎はどういうつもりなのか。
昨日、継子にした隊士が逃げ出したばかりだというのに、何故こうも勝手に話を進めてしまうのか。
そう心の中で杏寿郎に悪態をつきながらも、私は彼女を家の中に招き入れた。
◇
「遅れました。私、煉獄杏寿郎の妻である
Aと申します」
「おっ奥さん!!」
そうお茶を出しながらそう挨拶すると、彼女も焦ったように名を名乗る。
「甘露寺蜜璃です!!」
「はい、甘露寺さんですね
…継子に、というお話は先程聞きましたが
ご自分の意思で?」
杏寿郎がまた無理矢理言い出したんじゃないかと心配して聞くと、甘露寺さんは定食屋で出会ってからの話を聞かせてくれる。
「…なるほど。
では、鬼殺隊について少しご説明しますね」
「ぜっぜひお願いします!」
甘露寺さんはまだ入隊もしておらず、鬼殺隊に関してもあまり知らないようだったので、私は鬼殺隊という組織や入隊方法、そのために習得せねばならない呼吸や階級について順序良く説明していく。
「そして、鬼殺隊最高位である柱は
数名の剣士が呼吸ごとにおられます」
「…なるほど」
ゴクリと息を飲んで真剣に話を聞く甘露寺さんを見て、私は少し笑ってしまう。
「ふふっ、何もそんなに気を張る必要は無いですよ」
彼の鍛錬は少々厳しいですが、鬼を相手に戦う時、それは必ず自信に繋がります
そうニッコリ笑って話すと、甘露寺さんも徐々に笑顔をが増える。
せっかく甘露寺さんの緊張もほぐれてきたようだし、彼がその柱であることは、本人から後で話してもらおうと、私は口を閉じた。
◇
「…あの、Aさん」
甘露寺さんが正式に杏寿郎の継子になって
4日程経った頃。
後は風呂に入るだけだと、部屋に寝巻きを取りに向かう途中、甘露寺さんが神妙な顔つきで私の名前を呼んだ。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 20時