【短編集】ほしのかけら

『白』 ページ19

気がつくと、またあの空間に来ていた。
彼女のこと、忘れようと思っても。
その笑顔、その声が、焼き付いて離れない。

「なんで来たんだよ」

それは今までの彼女の口調とは違った。
その声には怒りが現れている。

「もうくるなって言ったのに」

そういう彼女の目からぽろり。
ひとつの筋が光った。
それはとめどなく溢れ、彼女を濡らしていく。

「もう嫌なんだ。大切な人を失うのは」

彼女が言うに、ここには、度々人が来るそうで。
その人は、彼女に会いたくて、
少しでも長く会いたくて。
睡眠薬を飲んで会いに来たという。
無論、その人は死んでしまったそうだが。

「死ぬとここから消えてゆくんだ」

と悲痛な声を出す。

「君には分からないだろう。大切な人が消えてゆくのを。
それも目の前にいる人が、さっきまで話していた人が、消えてゆくのだから」

その度に、彼女はその目を濡らすのだという。
――なんで救えなかったのだろう。と。

「だからもう此処には来るな」

彼女は微笑んだ。
ああ。と彼は頷く。



それが二人が交わした最後の会話だ。

END

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感動系書きたかったのに…
ｳｵｵｵｵｱｱｱｱ( 'ω')/ｱｱｱｱｱｯｯｯｯ!!!!!
泣ける

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