７２話 ページ26
zm「…なぁ、その傷誰かにやられたって事やろ？恨んでへんの？ソイツのこと」
『えっ…』
ゾム様から言われた一言。
その返答に言葉が詰まってしまう
ゾム様は真剣な表情で私の顔を見て答えを待っている
zm「一生残る様な傷を負わせてんで？殺したくなるほど恨んでたりせんの？」
『それは…うーん、……恨んでないですかねぇ』
zm「え、そ、そうなん？」
ゾム様はポカンと口を開けて固まっていた。
口に運びかけていたお肉が落ちてタレが机に跳ねる
あ、服にタレついちゃいますよ！
『…だって、もう起きたことですから。それに、私は記憶がないだけで、もしかしたらその人にとても酷いことをしていてやり返されただけかもですし…』
zm「そ、そうか…」
『はい、だから恨むとかそういうのは無いですかね。今ではこの傷も私の一部として好きですよ』
相棒みたいなものです！とゾム様に微笑みかけると彼は少し呆気にとられた様に私へ視線を向けていた。
私はそんなゾム様を気にすることなく目の前のお肉を口に運ぶ
zm「そ、そう、なんか…」
『はい！』
この傷が好き。
だなんて、嘘に決まっている。
本当は凄くこの傷が大っ嫌いだ。今にでもこの傷をつけたやつを見つけて殺してやりたいほどソイツのことを恨んでいた。
でも、分かる手掛かりなんて無い。
倒れていた場所はスラム街っておばさんも言っていたし、スラム街ならもし身元が分かったとしても何処かでのたれ死んでいる可能性の方が強い。
ゾム様に嘘を付いたのは、ただこの人には嫌な思いをして欲しくなかっただけだから。
目の前の新人の兵士の頬に傷があったとして、例えば興味本位でその傷に触れたとして、何気なく恨んでいるかを聞いたところ、私怨を言われるとなるとどう思うだろうか？
それに今更この傷のことをグチグチ言うつもりも無いし、医者にも一生残る傷だと宣告された時から諦めている
この傷のせいで、近所の人から酷い虐めを受けたこともあったし、なんなら一度、好きな人に告白したことがあった。
…まぁ、無理だったんだけど…
え？理由聞く？分かり切ってるでしょう…この傷のせいだよ。
「顔に傷があるなんて女じゃない」と目の前でそう言われてしまった。
たかが一度、フラれただけ。
女にとって誰でも経験あることの筈なのに…
その言われたことが周りの女の子とは違いすぎてこの傷を恨む様になった。
何度も思った、こんな傷なければ良いと。
何度も泣いた、傷をつけた奴が憎いと。
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アリウサパン?(プロフ) - コメント失礼します！「しない」でお願いします！ (2020年8月3日 1時) (
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青葉２号(プロフ) - コメント失礼します！悩みましたが、『する』に一票入れさせていただきます！ (2020年8月3日 1時) (レス) id: 5284f259f4 (このIDを非表示/違反報告)
明莉(プロフ) - コメント失礼します！しない！でお願いします！ (2020年8月3日 1時) (レス) id: 97974cb528 (このIDを非表示/違反報告)
きずな(プロフ) - コメント失礼します。しない一択で！ (2020年8月3日 0時) (レス) id: 9903ddc09e (このIDを非表示/違反報告)
たんこぶ - コメント失礼します。「しない」で投票させていただきます。 (2020年8月3日 0時) (レス) id: 6e4881c6a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にろ。 | 作成日時：2020年7月22日 3時
