【実況者】TRANS-PORTER【wrwrd!】 (ページ29)

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｢…何、わざわざ呼び出して。｣

｢ごめんねぇ、少し話したいことがあるんだ。｣

いつもの廃倉庫。
橋の向こうにはネオン街が輝いて見える。トウキョウは眠らない街、そういう理由がなんとなくわかった気がした。
いつも私との契約に来る男は黒いローブにフードを深くかぶっていた。口元だけがぼんやりと形を映し出していた。

｢君…会社勤めだったっけ？｣

｢ニホンのニートは社会から排除されると聞いた。ま、職務内容はドライバーだから苦じゃないけどね。｣

｢ニート…うんまぁ、間違いではないけど…｣

｢で、結局何？｣

｢あぁ…そうだったね…｣

ガチャリ、と音がした。
眉間に押し付けられた黒光りするそれは、リロードされた状態で、男の指がトリガーにかかっている事を意味した。口元が笑ってない。

｢…あの格下と、どういう関係？｣

｢…裏で組んでると？｣

｢狙ってあの会社に就職したの？｣

｢…否定しても信じないだろ。｣

疑われるのも無理はない。はぁ、と溜息を付いて、一歩下がると車のボンネットに寄りかかって腕を組んだ。

｢…身を隠す為の就職先を探しただけだ。だから全て偶然。その時だ、アンタから電話が来たのは。
…それこそアタシの方が知りたいわ。どうしてこの事知ってた？｣

男は少し黙ると、銃を下ろした。そして突然笑い出した。それは小さかったが、段々大きな笑い声に化していく。

｢いやぁ、何も知らないんだ！！もう忘れたんだ！！｣

｢…何を隠している。どうしてアタシを雇う。｣

｢君が面白いからだよ、A！！
確かにダークホース側で全て出来るさ、でもねA！！君が野生の豹のように自由奔放に駆け走るのは勿体無い！！！｣

そう言って彼が何かを投げた。それをすかさずキャッチする。ソレを見て思わず彼を見た。先程と違って口は弧を描いていた。

｢前金は支払ってる。完了後の報酬にプラスしてそれをあげるよ。どうだ？スリリングでしょ！？｣

｢…どうしてこれを？｣

｢君が好きそうだったからね、気が向いたらこっちにおいでよ、A。｣

｢勘違いしないで。｣

こちらから逆に銃を構えた。彼はその状況でも尚、笑みを崩さない。

｢…確かにスリリングだよ。でもね、

私は雇われた時間だけ、雇われた主の駒になる仕事。
誰かに忠誠を誓わないのが私のポリシーさ。
いくらルールに例外は付き物とはいえ、それは絶対に破らない。

それが私の生き様だからな。｣

彼はまた、愉快犯の様な笑みを浮かべた。