【実況者】TRANS-PORTER【wrwrd!】 (ページ3)

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S.1:暁闇に酔うページ3

S.1:暁闇に酔う

ーーーその日、私は新しくなった愛車を路地裏に走らせていた。

フルカスタム、迎撃用武器搭載、窓ガラスは防弾ガラス。ボディもアルミホイルとはいえ、凹まないように特殊素材でコーティング。そしてトランクには対人用武器に念の為の着替え。そして溶けていくように真っ黒なボディ。全てが完璧。

私の日本初来日(？)での仕事。

しかしまぁ、初依頼主はとても変な人だった。

今までの依頼主はちゃんと顔がわかるはずなのに、彼は真っ黒なローブにフードで顔を隠していて、正体も何も分からなかった。ーーーこれは引き受けるの辞めた方がいいか？そう思いもしたが。

というか、私が日本に来た事が日本に広まるのは可笑しすぎなぐらいに早い。打ち明けたのは師匠といつも常連の人ぐらい。その人脈を辿るにしろ、他国、むしろ極東と言われる日本に伝わるのは異常な程だ。

『初依頼が僕なの？へぇ、嬉しい。』

『…何をそんなに嬉しがるのか。表情の一つぐらい見せたら？』

『まぁ、そんな事より。これ、ここに届けてほしいんだ。ここの奴らに襲われないようにしてね？』

『…ここの、奴ら？』

『あっ、そうか。知らないんだ…ま、いいよ。
どうせ僕達よりうんと格下の集団が、犬の喧嘩みたいに襲いかかってくるだけだから。』

((いや、襲いかかってくるんかい。))

･

｢…なるほど、ボケと、ツッコミ…。｣

誰かから培われたツッコミとやら言う技術がやっと活用できた気がする。ニホンの知識を一通り身につけたもののなかなかだな…。

｢…人？結構いるな…なんなの？｣

その進路の先に佇む5人ほどの男。ライトをバッシングするも退く様子はない。

｢…思っ切り轢いてやろうか…っ後ろもいるじゃん…！！｣

バックしようとしても後ろにまた同じぐらいの人数が包囲する。こんな細い路地で私の愛車は挟み撃ちにされた。

…あのローブの男が言ってた【格下の集団】って、こいつらか…？

ーーーとにかく、敵になろうが関係ない。

たとえあの男とこいつらが敵対関係であろうが私には関係ない。この物を運ぶ事しか頼まれてない。さぁどうする。

｢…っ人多すぎ！！！｣

あぁもう！！腹が立つ！！まだ新車になってフルカスタムしてもらってまだ1週間すら経ってないのよ！！カーナビの隠しコマンドを入力して、パスワード入力。すぐ側にあったボタンを押した。

｢許してよ、あたしだって仕事なんだ。｣

ボンネットとトランクから出現したマシンガンのトリガーボタンを押した。