【実況者】TRANS-PORTER【wrwrd!】 (ページ20)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:61,383 hit

＊ページ20

｢…お前さ、｣

｢はい？｣

｢ちゃんと笑うんだな。｣

｢私をなんだと思ってるんですか。｣

赤髪の彼がそういった。そして私の頭を荒く撫でた。確か…フジ、さん？

｢フジさん、ですっけ？｣

｢あんなクネクネと一緒にすんな！！俺はキヨ！！こっちがフジ！！｣

｢キヨ酷いっ！！｣

｢はぁ、キヨさん、とフジさんですね。でヒットマーーーガッチさんで、こーすけさんで…｣

｢…えっ、俺らわかんない？｣

｢ほら！！あれあれ！！｣

｢…あっ、沼沢さんとカレーさん！！！｣

｢なんか惜しい！！！｣

｢しかも指さしてる方逆や！！！俺がレトルトで、こっちが牛沢さん！！！｣

｢なるほど…牛沢さんとレトルトさん、ですね。覚えました、多分…。｣

｢安心出来ねぇ…｣

ニホンの名前を覚えるのは大変だ。やはり手帳に書くのが1番だ。えっと、牛沢さんとレトルトさん…よしよし。

｢ホントに助かった！ありがとうね。｣

｢いえいえ、"暇な"私に仕事を与えてくださってありがとうございます。｣

｢悪かったよ…。｣

｢では、これは有難く頂きます。それではお疲れ様でした。｣

△▼△▼

6時の終業時間を告げるチャイムが鳴るとともに、彼女は少しうきうきとした足取りでこの部屋から出て言った。またガッチさんのことをヒットマンと言いかけた彼女。マイペースにも程がある。それがいい所なのかもしれない。

｢…本当にあの子が？｣

｢そんなふうには見えないけど…。｣

｢偶然じゃないの？｣

｢いや、そもそもあの車買うのは普通の一般市民じゃ難しい。ローン組んでも払えない。…確かに需要が足りないから高収入とはいえ。｣

彼女が入社して2週間が過ぎたのだが、彼女の考えている事は全く掴めない。それに俺たちの仕事を邪魔したあの車と同じとはいえ…あの子がそうだとは限らない。そもそも何も読み取れない。何を考えているのかすら。

｢…とりあえず、もう少し観察してーーー｣

｢なーに勝手にしてるんですかねぇ？｣

後ろを振り向けば、隣の忌々しき課の人間。やはり何か察されていたのだろうか。ポケットに手を突っ込んだ彼らに対して少し咳払いをする。

｢いや～何も？｣

｢あの件に関しては協力して調査する。そういう条件やろ？なんか察したんなら言えや。そこのサイコパスもお門違いとか言うて…何企んでんねん。｣

｢おぉ怖い…いや、教えたいのは山々何ですが…｣

･

･

もしそうなら、

彼女を手放すのはもったいない。

にやける顔が抑えられませんわ。

｢…まだ確証ないんで言えませんわ～。｣