【実況者】TRANS-PORTER【wrwrd!】 (ページ19)

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｢あっ、Aやっほ～｣

｢やっほーです、ヒラ。お隣失礼します。｣

｢ガッチさんまじで連れてきたの？｣

｢暇そうだったし。｣

｢そうですよ、皆様のせいで暇なんですよ。ちょうど今からヨコハマまでドライブ行くつもりだったんですから。｣

｢まぁそうなるわな。｣

隣の課からまた驚愕の視線を受けつつ、部屋に入って仕切の右側。1つ空いたデスクにマイパソコンとカフェオレを置く。起動を待っていると、どん、と机の上に資料の山が。ひぇっ。

｢ごめん、嫌がらせとかじゃないねん！！｣

｢…鼻炎の薬、持ってますよ？｣

｢ｱｯそれは大丈夫。これを全部打ち込んでほしいんや…文書でごめんな…？｣

｢了解しました。ふむ…そうですか…｣

ぱらぱらと紙面をめくる。データーを含めた資料作成という所か。しかしこれは広報部のやる事なのだろうか…。これなら…と時計を見る。3時すぎ。で、一応の終業時間は6時。3時間もない。

｢…出来たらデータを送ればいいですか？｣

｢そこにあるUSBに入れてくれる？｣

｢わかりました、集中させてください。｣

｢あ、お、え？｣

全ての雑音をシャットアウト。カバンからイヤフォンを取り出して耳につける。適当に"昼下がりのおすすめ"みたいなプレイリストを再生させて、初めの資料に手を掛けた。

今日の夜ご飯はMJコンビによるたこ焼きだ。
遅刻は許されない。

△▼△▼

ーーーノイズキャンセリングの為の音楽も意味を成してなかった。音楽すらも聞こえない程私は集中していた。取り敢えず残業なんてやだ。
その一心でタイピングを続けていた。この莫大なデーターを纏めるのは私としてはそんなに苦じゃなかった。寧ろ、この時間が妥当と言うべきか。

｢…。｣

もうそろそろ終業時間。打ち込み終わったデーターをデリートしないように、変な事をしでかさないうちにUSBに移す。ドイツ語で"完了"の文字が出た。

｢…皆さん、既に自分の業務を終えられてたのですね。｣

｢あ、ま、まぁ、うん…。｣

｢あ、ニットマンさん、これUSBです。｣

｢うんだからガッチマン。｣

イヤホンを外して、後ろを確かめれば、何故か皆さんが見学していた。気にしないが。

｢ごめんね～シノダちゃん。助かった～｣

｢いえ、皆さんの業務が進んだのなら何よりです。｣

｢これ、マカロン。｣

そう言って差し出された、私の好きなフランスに本店を構える洋菓子店の名前。あぁ、働いた対価がこれとは素晴らしい！

｢…ありがとうございますっ。｣

あぁ、こんな奴らの前でも笑顔が零れちゃう！！