【実況者】TRANS-PORTER【wrwrd!】 (ページ1)

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Prolog ページ1

海は綺麗だと思わないかい、諸君。

穢れを知らないんだ。まるで好奇心旺盛な子供のように輝いている。それが悪い事だとは言わない。

人というのはいつだって奇怪だ。
なんでも人に合わせたがり、なんでも人に任せたがる。勝手な"正義"の基準を決めては勝手に人で人を裁く。

そしてその守り抜かれ、鉄壁とまでなった"正義の壁"を壊したがるのもまた人間だ。

そうして表社会から影を落とし、裏社会へと身を染めていくのがきっと外れ者とでも呼ばれるのだろうか。

そしてその外れ者同士で手を組んでは、闇世界を支配しようとその"正義"の基準を恰も蚊帳の外のように扱う。いや、そもそも扱われてすらいないのだろうか。

今私が乗る飛行機だってそうだ。

窓から見下ろした一面の海は、何処まででも透き通っていた。"正義"など無縁である海を時々羨ましく思う。

ただ機内を見渡せば、その誰が定めたかわからない"正義"を忠犬のようにお座りして待つ穢れた人間ばかり。

それなら闇に身を落としたほうがきっと楽だ。

けれど、誰にも忠誠を誓わず、誰にも合わせず、誰にも任せない。全て私、私だけ。

その為に捨てた"正義の鏡"の肩書きなど忘れた。

シートベルトマークが点灯。

あぁ、私の第2の人生が始まる。

きっとこの海を越えきったところが、私自身が闇に染まる場所なのだろう。地平線から真っ赤な太陽が覗き、私は眩しくって手で光を遮った。

ただ、ひとつ言えるとするならば。

私の職業は人を変えてしまう、でも他人事のような恐ろしいロシアンルーレットのようなもの。

絶望を運ぶか、チャンスを運ぶか。

責任や決断を人に任せるより、任されたい。

何故って、そりゃあ。

他人の人生を"私"というカジノに賭ける。

これ程贅沢なギャンブル、ありゃしないわ！！

ーーーーTRANS-PORTERーーーー