Fiona Ⅲ ─ イナズマイレブンGO (ページ30)

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訓練室Aでは、ボールが止められる音が永遠と響き渡っていた。

廊下を歩くAはシュウにもらったヘアゴムで髪を括ると、その部屋を窓から見下ろした。

「はぁぁぁあ！クッソ、入らねぇ！」

訓練室の広さはサッカーコートの半分。
白線上に選抜チームの訓練生達が並び、無人のゴールに向かって渾身のボールを続々と撃ち込んでいく。

無人ではあるが、ゴールにはある細工が仕掛けられていた。

シュートに応じて、自立型の移動ロボットがボールを正面から弾くようにプログラミングされていたのだ。

「どうなってやがるんだ、あの機械……」

「壊さねぇ限りゴールはさせねぇってか？」

浪川と湾田は列に並び直すと、ゴールから跳ね返ってくるボールの行方を目で追った。

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何としてでも強引にゴールをこじ開けようと、次第に訓練生らは必殺技を使用し始めた。

「はァァっ！

Supercell(スーパーセル) V2！」

白竜は片手を上げると、ボールは急回転して上昇気流に乗る。
巨大積乱雲から竜巻が発生、必殺シュートが彼の右足によって炸裂した。

猛烈な暴風の柱がゴールを直撃する。

がしかし、鈍い音をたてて自立ロボットのボディがボールを防いでみせた。

選抜チームFW陣のキック力を持ってしても、一向にゴールネットが揺らされることはない。

地面を転がるボールを追いかけ白竜は訓練室の端へ向かうが、その先ではひそかにAが練習着姿で壁に寄りかかっており、彼を驚かせる。

訓練生達は、Aのお出ましに思わず足を止めた。

「！……０番」

「０番、どうして此処に？」

『混ぜてもらいに来た。練習、続けて』

浪川が目を見開いて尋ねると、Aは飛び入り参加しに来たのだという。

周りを取り巻く雰囲気はいつもと違って、どこか楽しそうな表情を浮かべている。

中断しかけたシュート練習は彼女の目の前で再開された。

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