第三十一話【星の王子フゥ太】 ページ37
「圭織、帰りましょう」
「先生に呼ばれてるから先に帰っててー」
「………今度は何をしましたの？」
「いやー、ちょっと黒板アートにチャレンジしてたら十本チョーク無駄にしちゃっ」
「帰ります。さようなら」
「最後まで聞いていってよ！！」
後ろでギャイギャイ騒いでいるが無視して教室を出る。圭織が、チャレンジと称して何かしでかすのは日常茶飯事ですわ。
昇降口から出ると、空は曇り空で今すぐにでも雨が降ってきそうな気配がした。一応、傘をストラップサイズから戻しておく。
傘をつきながら帰ろうとしたそのとき、足元のバケツが突然ふわりと浮かんだ。
「えええ！何が……キャア！！」
足が地面から離れ、空中に浮かんだ。まるで、無重力みたい……ってそんな場合ではありませんわ！！
必死に体を捻って辺りを見回すと、校門の影で誰が立っていた。
「A姉のマジックの技術、３万８千７５０１中２位。さすがA姉だね。ワールドクラスの実力だ」
「あ、あなたは……？」
「あ、A姉だ！わーい！会えた会えた！！」
少年がこっちに気づいた途端、フッと、無重力がなくなり、なんとか着地する。
マフラーを巻いた少年は、嬉しそうな表情で駆け寄って来ましたわ。
「ぼくはフゥ太！勝手にA姉って呼ばせて貰ってるよ！会えて嬉しい！」
「フゥ太くん？どこかでお会いしました？」
「ううん。今までぼくが一方的に知ってただけ……あ、ちょっと待ってて」
と、コートの中に手を突っ込むと、体積的に入るわけのない大きな本が出てきた。
よ、四次元ポケット……？
適当なページを開き、カリカリと何かを書き出す。
「A姉のランキングを書いているんだ。忘れちゃうからね」
なるほど。そういうことでしたか。
もう慣れのせいか、不思議極まりないこともすぐ順応するようになってしまった。
フゥ太くん自身も不思議なカンジですし、無重力パワーがあっても違和感はありませんわ。
「ホントはもっと話したいんだけど、雨が降って来そうだし帰るね。バイバイA姉！」
「さようならフゥ太くん。お気をつけて」
たたたと軽やかな足取りで去っていくフゥ太くん。と、すぐにぽつぽつと雨が降ってきた。傘を差してガードする。
「なーんだ。A待っててくれたの？」
「いえ、ちょっと色々あって…」
「ふーん。ま、いいや。でさ、傘忘れちゃったから出して」
「マジックでなんでも済まそうとしないの」
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彩 - この話面白いですね個人的に骸との絡みが好きです (2016年4月18日 19時) (
レス) id: 6de7adccf7 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫 - お返事遅くなりました。こんなに多くの方に見てもらえるとは、本当に嬉しいです！更新が滞納気味ですみません…これからもよろしくおねがいします！ (2016年3月31日 12時) (レス) id: ea2138361d (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 面白いです!個人的に雲雀さんとの絡みが好きです！!更新頑張って下さい！!！ (2016年1月18日 17時) (レス) id: 3aa98e067b (このIDを非表示/違反報告)
トンぬら(プロフ) - とっても面白いです！続きが楽しみです・・・。更新楽しみにしております( *´艸｀)応援してます！！ (2015年10月12日 9時) (レス) id: 33eb7c7682 (このIDを非表示/違反報告)
静花 - この作品大好きなんです！だけど、１ヶ月以上更新されていませんね(´・ω・`)ｼｮﾎﾞｰﾝ悲しいです…。更新頑張って下さい！応援してますから！ (2015年8月19日 17時) (レス) id: 451838e6c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本の虫 | 作成日時：2014年11月1日 17時
