第二十八話【入院２】 ページ34
「ねえ小動物。手に持ってるのは？」
「……？兄へのお見舞い品ですけど…」
「ちょうどよかった。ゲームして小腹が空いたところだったんだ。剥いてよ」
「あの、これは兄への」
「なにか問題でも？」
「ございません！！」
どこからか出してきたトンファーを突きつけられ、反射的に返事をしてしまった。
申し訳ございません兄様。私も病院のお世話になりたくありませんの…
しぶしぶ、一緒に持ってきた果物ナイフで皮を剥いていく。
家庭科の授業でやったので、それ自体は難しくありませんでしたが、何せ雲雀さんさんが一挙一動凝視してくるもので…手を滑らせないかドキドキしましたわ。
「へえ、ちゃんと剥けるんだ」
「まあ、流石にこれぐらいは…」
うさぎリンゴを二つ作り、お皿に置いて渡した。ん、とだけ言って受け取った雲雀さんはそれを口に運ぶ。
なんというか、一つ一つの動作とかから品の良さが染み出ている。そういえば、この人も綺麗な方でしたわ。
会ったらいつも「赤ん坊は？」と聞いてくるものですから、のんびり見る暇などなかったのです…
その調子で梨も平らげると、他の果物はまた後で食べると没収されてしまった。
「兄様の分が……あの、そろそろ戻りますわ」
「うん。おいしかったよ。また持ってきてね」
「わかりまし………え？」
「あと三日ぐらいは入院してるから。じゃあね」
病室からつまみ出されると、ピシャリと閉まる無情なドア。呆然と、しばらく廊下に座り込んだままの私。
これは、まさか………！
「パシリにされたのでしょうか！？」
「そー思っちゃうの！？」
ようやく兄様のところへたどり着き、今までの出来事を伝えると、そんなツッコミが返ってきた。
さっきより重症になっている兄様は目玉が飛び出す勢いでまくし立てる。
「あの群れると咬み殺そうとする雲雀さんだよ！？そんな雲雀さんにまた来いって言われるなんて相当気に入られたよ！！」
「いや。あの顔は、いいおもちゃを見つけた。そんな表情をしていましたわ」
「いやいやいや！！」
「兄様、考えてみてくださいな！もし兄様のように考えていたら、トンファーで脅すようなことをしますか！？」
「た、確かに……でもなぁ…」
腑に落ちないと言いたげな兄様。
もうよいのです。雲雀さんの敵になるよりはマシですわ。
ぽんっ
明日からのことで頭を痛めつつ、兄様へ【労り】の気持ちを込めて。
ポピー
【労り】【休息】
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彩 - この話面白いですね個人的に骸との絡みが好きです (2016年4月18日 19時) (
レス) id: 6de7adccf7 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫 - お返事遅くなりました。こんなに多くの方に見てもらえるとは、本当に嬉しいです！更新が滞納気味ですみません…これからもよろしくおねがいします！ (2016年3月31日 12時) (レス) id: ea2138361d (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 面白いです!個人的に雲雀さんとの絡みが好きです！!更新頑張って下さい！!！ (2016年1月18日 17時) (レス) id: 3aa98e067b (このIDを非表示/違反報告)
トンぬら(プロフ) - とっても面白いです！続きが楽しみです・・・。更新楽しみにしております( *´艸｀)応援してます！！ (2015年10月12日 9時) (レス) id: 33eb7c7682 (このIDを非表示/違反報告)
静花 - この作品大好きなんです！だけど、１ヶ月以上更新されていませんね(´・ω・`)ｼｮﾎﾞｰﾝ悲しいです…。更新頑張って下さい！応援してますから！ (2015年8月19日 17時) (レス) id: 451838e6c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本の虫 | 作成日時：2014年11月1日 17時
