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善法寺伊作side
保健室の屋根裏に来ていた
学園に着いて、まず考えたことは彼女はどこにいるだろうかということだった
まだ保健室にいるかもしれないというのは当たっていた
Aちゃんは1人で、片付けをしていた
肩に付くくらいあった髪はこの2年で腰の辺りまで伸びていた
大人っぽくなったな…
彼女は首を振って何か呟いたが、聞こえなかった
下に垂れた髪をすくって耳にかけた
じっと彼女を見ている自分がいたたまれなくなってきた…
帰ろうとしたその時だった
『…会いたいなんて、私にしては欲が出ちゃってるなあ。』
確かに僕の耳に届いたその言葉
考えていたことなんか全部忘れて、彼女の元に降りたって抱きしめていた
彼女は驚かなかった
そのまま僕の言葉を聞いてくれた
「会いたかった」とAちゃんが言ってくれただけで、こんなにも嬉しくなる
僕の手を離して僕の方を振り向いた
雑渡さんの言う通り、綺麗になった彼女に胸が高鳴った
断ち切れるわけなんてなかったんだ
話していくうちに、蓋をしていた気持ちが溢れる
伊作「…Aちゃん、好きだよ。僕は君の傍にいたい。帰る場所に君がいて欲しいんだ。」
『わ、たしも、善法寺くんが好き。』
きっと僕の好きとAちゃんの好きは違う
伊作「…ありがとう。でも、Aちゃんの好きは忍たまとしてでしょう?」
『違います。私にずっと寄り添ってくれて…きっとあなたがいなかったら私はここにいなかった。私のことを心配してくれる、あなたがいないと寂しくて仕方がなかったんです。』
僕の手を握りしめた
顔が赤くなっている彼女を見るのは新鮮だ
『離れてから、何か足りなくて、でもそれが何か分かんなくて、でも!今日善法寺くんに会って、それが埋まった気がしてっ。…私は恋愛なんてしたことないし、分からないけどこの気持ちは嘘じゃないから。』
手を握り返した
顔を隠すようにAちゃんの肩に頭を乗せた
『ぜ、善法寺くん?!』
どうしようもないくらい嬉しい
自分でもわかるくらい顔に熱が集まっている
『善法寺くんだけずるい…。顔ちゃんと見せてください。』
小さな声だ
そっと顔を上げて再び目を合わせた
伊作「真っ赤だね。」
『善法寺くんこそ。』
くすくすと笑い合う
伊作「…僕と恋仲になってくれませんか?」
『はい、ずっとお傍に。』
どちらからでもない
見つめ合い、お互いの顔が近づく
そして目を瞑って唇を触れ合わせた
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澄香 - 完結おめでとうございます!結構前の作品ですが、、、とても素敵な作品でした! (2月3日 20時) (レス) @page21 id: 3292c399a2 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 完結おめです!!!!リーヴル様の他の作品を見てきます(^^ω) (2023年1月24日 18時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうDX - 結構前の作品ですが, 完結おめでとうございます。読んでしまったら読む手が止まらなくなる,そんな心惹かれる素敵な作品でした。キャラ達の夢主への心情の変化や夢主の心の変化が少しづつ変わっていくのがとても面白かったです。本当にありがとうございました!! (2022年8月11日 0時) (レス) @page21 id: b43443e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高に面白かったですし、めちゃくちゃ泣きました。本当に素敵な作品でした。完結、寂しいですがこれからも頑張ってください!本当にありがとうございました! (2022年1月19日 18時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 本当に面白かったです!何で今まで気づかなかったんだろう、と思うくらいの傑作です。オチが多数あったり、作中に伏線を入れていたりと工夫がされていて、読みごたえがありました。最高の作品をありがとうございました! (2021年12月15日 18時) (レス) @page21 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リーヴル | 作成日時:2021年3月24日 1時