【忍たま】遠慮させていただきます。5

┏善法寺伊作 ページ1

善法寺伊作side


2年の月日が流れた
僕は雑渡さんの勧めでタソガレドキ城に就職した
いくら知り合いと言えど、そのまま就職でいいのかと悩んだがこれが一番良い選択だったように思える
1年目は忙しく学園に1度も顔を出せなかった
雑渡さんからたまに近況を聞く程度
2年目にしてようやく少しだけ落ち着いてきた


雑渡｢ただいま。｣

伊作｢雑渡さ、いや、組頭お帰りなさい。｣

雑渡｢やっぱり君に組頭って呼ばれるの慣れないなあ。｣

諸泉｢どこに行かれてたんですか？｣

雑渡｢忍術学園。｣

高坂｢皆元気でしたか？｣

雑渡｢うん、相も変わらずかな。｣


相も変わらずか…数馬は5年生で委員長代理
1年生は3年生に
そう考えると随分と変わった、いや、成長したものだ
彼女も元気にしているのかな


雑渡｢…仕事も落ち着いてきたことだし、伊作くん有給いる？｣

伊作｢突然なんですか。｣

雑渡｢いやーね。皆｢伊作先輩はお元気ですか？｣って、来る度に言われるんだよ。｣

伊作｢考えておきます。｣


話を終わらせて手元の書類に目を落とした

落ち着いてきたし、休みを貰おうと思えばくれるだろう
しかし学園に顔を出したい気持ちと彼女に会うことを躊躇っている自分がいた


雑渡｢Aちゃん、この2年の間で綺麗になってたよ。今じゃすっかり学園の頼れる事務員だ。｣

伊作｢なんでそこで彼女の話が出るんですか。｣

雑渡｢いや、気になるかなって。｣

伊作｢そんなこと…

雑渡｢だから最近、行く度に口説いてるんだよね。｣

伊作｢は…？｣


思わず顔を上げて雑渡さんを見るとニヤリと笑っていた
からかわれたのか


雑渡｢半分冗談だよ。｣

伊作｢…報告書まとめ終わりました。ちょっと出てきます。｣


モヤモヤした気持ちを振り払うために、雑渡さんに報告書を出してその場を去った


―――――――――――
No side


山本｢お頭、からったら駄目ですよ。｣

雑渡｢反応が面白くってさ。｣

諸泉｢なんであんなことを？｣

高坂｢伊作が彼女に会わないことを選んだのなら、煽るようなことを言うのは…。｣

雑渡｢良いんだよ。傍から見れば、伊作くんの中にずっとAちゃんがいることは皆知ってる。｣

山本｢伊作はこの想いが枷になるからと捨てようとしているんですね。｣

雑渡｢恐らくね。…まあ発破をかけたのはそれだけじゃないよ。Aちゃん自身にも変化があるみたいだから。｣


雑渡昆奈門は見透かすように呟いた

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