126.剥ぎ取った ページ37
池田三郎次side
出かけていた帰りのことだった
声が聞こえた気がした
優しい、でも悲しそうな声が
三郎次｢なあ、今声がしなかったか？｣
久作｢いや、何も聞こえなかったけど。｣
左近｢人がいるのかな。何かあってもいけないし見に行こうか。｣
四郎兵衛｢…確かに聞こえるんだな。これってAさんの声？｣
久、左｢｢Aさん？！｣｣
耳の良い四郎兵衛が言うのなら間違いないだろう
やっぱりあの人の声か…
声が聞こえた方へ走る
なんでこんな山にいるんだ
茂みを分けて開けた場所に出た
彼女がいた、1年の鶴町伏木蔵もいる
何故か彼女は布で自分の目を覆っていた
左近｢伏木蔵！Aさん！｣
伏木蔵｢左近先輩！｣
左近｢なんでこんなとこに2人でいるんだ。それにAさんはどうしたんだ？！｣
三郎次｢…泣いてんのか。｣
久作｢三郎次？｣
彼女の目の前に立って覆いを剥ぎ取った
ポロポロと涙を流していた
その暗い瞳が僕を見つめた
三郎次｢言ったよな。…表情が分からなければ、理解なんてできない。あんたの考えていることを、言葉だけじゃなくて顔を見て知りたいんだよ。どうして隠すんだ。…先輩とかなら顔を見なくても分かるだろうけど、僕たち下級生はまだ未熟だから分からないんですよ。｣
『…そうだったね…三郎次くんには教えられてばかりだ。でもね、私のことなんて理解しなくても良いんだよ。もう忘れていいんだよ。元から私はいないんだから、君たちの世界に私はいなくても
三郎次｢ふざけるな！僕たちの意志を勝手に決めるなよ！少なからず僕は、あんたが必要だと思ってる！｣
怒鳴るような言い方になってしまった
思わずとんでもなく恥ずかしいことを言ったんじゃないかと顔に熱が集まるのを感じた
久作｢そうですよ！Aさん言ったでしょ。我慢しなくていいって、素直になっていいって。先輩と仲直りできたのは、素っ気なかった僕にちゃんと向き合うことを教えてくれたんだ。｣
四郎兵衛｢次屋先輩と七松先輩が仲直りできて！僕たちを山賊から必死で守ってくれて！そんな優しいAさんを忘れるなんてできないんだな！｣
左近｢…僕たち他人のことしか考えてなくて、自分のことはそっちのけで、本当に危なっかしいんですよ。優しすぎるんです。頼りないかもしれないけど、僕たちだって理解したいと思っているんです。｣
同じように話す僕たちを一人ずつ見つめる
その目には迷いがあったが、さっきよりかは明るい目をしていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スイちゃんですよ〜☆ - Ahoy!!最高です！続編に出航!!!! (2023年1月24日 15時) (
レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - (^^ω)だだﾀﾞ大統領になったらね☆まずは、リーヴル様を捕まえるね！と言う冗談は、そこら辺に捨ててね、 (2023年1月24日 15時) (レス) @page50 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
リーヴル(プロフ) - あーーさん» お褒めの言葉ありがとうございます。神様だなんて…。あーーさんの心に残る作品になれて幸いです！これからもよろしくお願いします。 (2021年3月8日 1時) (レス) id: 17c0458bc0 (このIDを非表示/違反報告)
あーー - 何この素敵な作品…リーヴルさんは神様ですか？ (2021年3月8日 1時) (レス) id: d228b33f0e (このIDを非表示/違反報告)
リーヴル(プロフ) - あまねさん» 愛の告白をありがとうございます(笑) 作品を気に入っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2021年3月7日 19時) (レス) id: 17c0458bc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リーヴル | 作成日時：2021年3月1日 13時
