【忍たま】遠慮させていただきます。3

115.甘い匂いにつられて ページ25

尾浜勘右衛門side


三郎と一緒に一足早く学級委員会室に着いてしまった
まだ委員会が始まる前だ


勘右衛門｢あの子連れて2人とも来るかなー？｣

三郎｢どうだろうな。｣


2人とも真面目だから確実に来るだろう
それに彼女がいる
彼女の評判は、最初とは見違えるほど良くなった
いや、正しい形を取り戻したという方が良いか
俺たちが彼女を偏見で見ていただけだったのだから


勘右衛門｢なんか甘い匂いしない？｣

三郎｢しないが…いや、待て。この足音は…勘右衛門、天井に上がるぞ。｣


甘い匂いが鼻腔をくすぐった
その後に三郎が言った通り気配を感じた
甘味の匂いを先に感じ取ってしまうとは…

天井に上がったと同時に3人は入ってきた
何か持っているようだ
そこから甘い匂いがする
1年は2人とも俺たちがいないのを残念がっているようだ
その様子を見て胸がいたんだ


勘右衛門〈てかさ、思わず言う通りにしたけど、なんで隠れたの。〉

三郎〈なんとなく…。最近はいつもこうだったから。〉

勘右衛門〈確かにそうだった。〉


2人で下を見ると、彼女は俺たちを見ていた
思わずドキリとしたが、それは勘違いだった
目が合っていない

前髪を切ったというのは本当だったのか
表情がよく見える
ふと三郎を見ると彼女の顔をじっと見つめていた


勘右衛門〈三郎？〉

三郎〈ん？ああ、すまん。どうしようか。〉

勘右衛門〈降りていいのかな。あれ以降、合わせる顔がなくてこんな状態になっちゃったけどさ。〉

三郎〈…逃げているのは私の方だな。〉

勘右衛門〈…俺もだよ。〉


下の様子は伺えるが、何を話しているかは分からない
しかし突然、彼女が大きな声で話し出した
それにつられて庄左ヱ門や彦四郎も大きな声で話し出した
誘い出そうとしているのだろうか
｢来てくれないのは悲しいね｣と彦四郎
｢一緒にお話したかった｣と庄左ヱ門
話の中に2人の本音のようなものが入っていた
そう期待してしまっても良いのだろうか


三郎〈甘い匂いにつられてなんて虫がよすぎる話だ。〉

勘右衛門〈俺は食べたい！誘い出されに行く！それに、2人と話したい。〉

三郎〈2人を悲しませるなんてだめな先輩だ。〉

勘右衛門〈降りよっか。〉

三郎〈ああ。〉


下へ降り立つと3人は振り返った
庄左ヱ門と彦四郎は安心したように笑った
一度は殺そうとまでしたのに、怖がらず、怯えたりもせず、彼女は微笑んで俺たちを見た
三郎は彼女と普通に軽口まで言い合っていた

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