咄嗟の道連れ 五段 ページ10
side A
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穴の底から空を見上げる。
空気が澄んでいて、
見える範囲では雲一つ無い。
そういえば、穴に落ちるのは初めてか…？
まあ、俺が自分で落ちたわけじゃないけど。
文次郎「仕方ない、苦無を使って斜めに掘って上がろう」
『それマジで言ってる…？』
文次郎「それ以外に方法でもあるのか？」
苦無で掘り続けたとして
地上に出るまで何時間掛かると思ってんだ…
普通に考えても
そんな答えにはならないはずなのに…
『この穴はそんなに高くない。なんとか登れそうだ。
幅も両手を広げたくらいだから二人なら余裕だな。』
文次郎「二人なら余裕って協力して登るってことか？」
『……………別に俺一人で登ってもいいけど？』
文次郎「あ、いや、ここは協力しよう…！」
……………
さっきから思ってたけど、
今日の文次郎は何かおかしい。
尾浜や鉢屋と一緒に居ると
視線を感じていた。
見るとその先には文次郎…。
六年生にもなって視線の一つも隠せないとは…
今から協力するってのに、
文次郎の情緒次第では難易度が上がってしまう。
はぁ…
仕方ない…。
『いい機会だし、ちょっと此処で休んでこう』
文次郎「はぁ！？ 何いってんだ！ さっさと出るぞ！」
『なぁ、文次郎？ さっき何か俺に言いかけた？』
文次郎「…………っ…、いや、別に」
文次郎とちゃんと話す様になったのは
六年生になってからかな。
いつも「勝負しろ！」って
五月蝿かったんだよね…
あれ？
そういえば、最近言わないなぁ。
『もう俺に勝負仕掛けて来ないんだね？』
文次郎「まあな、気分だよ」
『ふーん、勝てないから？』
文次郎「んだとッ！」
文次郎って本当さ、
怒車の術に弱いよねー。
すぐ釣られてるし。
文次郎「…………そうだよ。俺はお前に勝てないんだ」
『……………』
見上げていた空から視線を外し、
文次郎に目をやると
背を向けられてしまった。
さっきまで雲一つ無かった空に
雲がかかって辺りが若干暗くなる。
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鴫碧(プロフ) - 雪さん» お久しぶりです！ 本当は拾で終わる予定が、まさかの拾参まで続いてしまいました…。そろそろ終わりそうですね…笑 お互い頑張りましょう！ (1月27日 21時) (
レス) id: dea0075d52 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - お久しぶりです続編おめでとうございます。そろそろ物語もしゅう終盤ですかね？お互い小説作り頑張りましょう (1月27日 20時) (レス) id: c61495b448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鴫碧 | 作成日時：2024年1月27日 19時
