【男主】もう一人の六年生は任務中 玖【忍たま】

紙包み 三段 ページ48

side 食満留三郎

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伊作「……………その時、Aが紙に包んで渡してきたのが、この天花粉だった。」



















俺は医務室の戸に

手を掛けたところで静止した。





伊作の言葉の中にAがいたからだ。






Aが居なくなってから数週間。

徐々に皆が前へ進もうとしている頃。




伊作はなかなか立ち直れなくて大変だったが、

最近になって笑う様になった気がする。






俺だって悲しかった。

辛かった。






あいつは居なくなる事はあっても、

必ず戻ってきた。





最初こそ信じて待ったが

徐々に気付かされた。











Aはもう居ないんだと…



















伊作「兵助にこの薬を渡したのは、Aなんじゃないかな」


久々知「え………いや、それは……」


尾浜「……っ…」



















再び医務室から声がする。



またAの名前…








聞いてられなかった。
















留三郎「伊作、入るぞ」


久々知「食満留三郎先輩」


乱太郎「どうされたんですか？」


留三郎「いや、そろそろ夕食の頃だ。食堂へ行かないか？」














俺は誤魔化して

医務室での話題を無理矢理変えたかった。





伊作を食堂へ促して

Aの話を終わらせる。



















乱太郎「話はここまでにして、私達も食堂へ行きましょ！」


伊作「そうだね！ 兵助、これは返すよ。ちゃんとした薬だから大事に使ってね」


久々知「ありがとうございます！」



















なんとかして会話を終わらせた。





乱太郎が飛び出し、

それを追う形で伊作、

久々知兵助と最後に尾浜勘右衛門が

医務室から出る。







俺は全員が医務室から出たのを確認して

皆の後ろを追っていこうと思った。






の、ところで呟かれる。



















尾浜「盗み聞きって、あまり良くないと思いますよ。(ﾎﾞｿｯ」



















俺とすれ違ったところで

尾浜が言った。




何の事か解っていた。







俺が医務室の戸の近くに居るって

気付かれていたんだ。




まったく、流石だな

尾浜勘右衛門は。





正直、鉢屋三郎の次に厄介だ。



















俺はその言葉に返事はせず、

伊作と並んで食堂を目指した。






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